生活体育は国民の健康を増進し、エリートスポーツは国際社会における交流・親善に貢献する。力量のある選手を発掘し、集中的に育成する施設である「選手村」。宿舎が完備されたこのトレーニングセンターで、選手たちはひたすらトレーニングに没頭する。韓国の選手村はテルン(泰陵)、テベク(太白)、チンチョン(鎮川)の3カ所だ。
韓国初の総合トレーニングセンターとして1966年に設立されたのが泰陵選手村。ソウル東部の郊外に建てられ、韓国を代表するアスリートを輩出してきた。ときの流れとともに、スポーツ交流の活発化や競技種目の多様化、選手の数の増大により、規模の拡大を余儀なくされた。カンウォン(江原)道の山岳地帯にある太白選手村は、高地トレーニング専用施設として1998年に設立された。
それに続き、2011年に鎮川選手村が建てられた。

21世紀の韓国スポーツ界をリードするアスリートを養成する鎮川選手村
ソウルから車で南西へ1時間30分ほどのチュンチョン(忠清)北道鎮川郡クァンヘウォン(広恵院)面。約85万平方メートルの敷地の中で、陸上や射撃、競泳、バレーボール、バスケットボール、漕艇など12種目350人の選手がトレーニングを受けている。2017年9月の完成を目指す2段階事業が完了すれば、37種目1,115人の選手を収容する世界最大規模のトレーニングセンターとなる。27日、氷点下10度を下回る極寒の中、鎮川選手村を訪ねてみた。
現在、室内のトレーニング施設はスイミングセンターや室内テニスコート、漕艇・カヌー競技場、室内射撃場、多目的体育館などで、屋外トレーニング施設は陸上競技場、野球・ソフトボール場、テニス・庭球コート、クレイ射撃場、クロスカントリーコースなどがある。
比較的規模の小さい太陵選手村とは違い、鎮川選手村は規模の大きさはもとより、トレーニング施設が多様化されており、各競技ごとに選手が自分のペースに合わせてスケジュールを調整することができる。

距離(10m、25m、50m)ごとに60射台を備えた室内射撃場

50m射撃場のスコープの中から見た様子

サッカーやラグビー競技もできる陸上競技場。天然芝で、トラックは400m・6レーン

野球・ソフトボール場
スイミングセンターは、競泳専用のプールと、ダイビング、水球、シンクロナイズド・スイミング専用のプールに分かれている。

スイミングセンター。競泳専用プールは10レーン

スイミングセンターは、水球及びシンクロナイズド・スイミング専用のプールとダイビング専用のプールに分かれている
施設拡大により、メダルが期待される特定競技に偏らず、その他の競技のトレーニングもできるようになった。これまで室内体育館は、バレーボールやバスケットボール、ハンドボールなどが中心だったが、鎮川選手村の多目的体育館ではポールとマットを設置し、室内で棒高跳びの訓練ができるようになった。

室内多目的体育館では、バレーボールやバスケットボール、ハンドボールだけでなく、ポールやマットを設置して棒高跳びをすることもできる

多目的体育館のバスケットボールコート
トレーニング場の他にも、訪問者センターやパートナーハウス、事務棟、筋力トレーニング室、選手会館、花郎館(宿舎)などがある。

筋力トレーニング室

2016年リオデジャネイロ五輪を前に、筋力トレーニング室で汗を流す選手

事務棟、スイミングセンター、多目的体育館、選手会館のある鎮川選手村の中心部

選手たちの宿舎。選手たちはここで生活しながらトレーニングに没頭する

宿舎のロビー
選手会館には、図書室や語学実習室、マルチメディア室、映画鑑賞室、カラオケコーナー、ビリヤード場、会議室などがある。

読書室

カラオケコーナー

卓球・ビリヤード場

映画鑑賞室
鎮川選手村は、単に規模が大きいだけでなく、最新式の施設で構成されている。
医務センターに勤務する理学療法士のイ・ジェフンさんは、「健康センターには今後、専門医4人とスタッフ30人前後が追加配置される予定だ。そうなれば、施設内で選手のリハビリから治療、簡単な診断まで可能になる。準総合病院といっても過言ではない」と話す。

建設中の競輪場

2017年の完成を目指す宿舎(1,115人収容)の工事現場
コリアネット テ・ソル記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者、大韓体育会
taesol@korea.kr