「私たちはいつも“死むことはできても負けることはできない”という覚悟で競技に臨んでいます」
韓国トライアスロン界の未来は明るい。同じ日に軍に入隊し、国軍体育部隊に所属する同い年(27歳)のホ・ミノとキム・ジファンがいるからだ。両選手は2014年インチョン(仁川)アジア競技大会のトライアスロン混合リレーで韓国トライアスロン界初の銀メダルという快挙を成し遂げ、韓国のトライアスロンをアジアトップレベルに引き上げた立役者だ。

韓国トライアスロン界を牽引するホ・ミノ(左)とキム・ジファン。氷点下10度を下回る鎮川選手村(忠清北道)でトレーニングに励んでいる
トライアスロンの大会は、1989年の国際トライアスロン連合(ITU:International Triathlon Union)の創設以来、本格的にに行われるようになった。オリンピックでは2000年のシドニー五輪から正式種目となった。1月27日、韓国トライアスロン界を牽引するホ・ミノとキム・ジファンの様子を見ようとチンチョン(鎮川)選手村を訪れた。厳しい寒さの中、屋外で自転車のトレーニングに汗を流してきた二人の表情は明るかった。

笑顔でインタビューに応えるキム・ジファン(左)とホ・ミノ(右)
二人は変わった経歴の持ち主だ。1997年、トライアスロンのチャンピオンだった幼児芸能体育クラスの先生との出会いをきっかけに5歳でトライアスロンに入門したホ・ミノ。5歳のときに水泳を始め、小学3年生のときに道代表として陸上競技大会に出場、中学入学と同時に競輪部に入部し、トライアスロンの道を歩み始めたキム・ジファン。
二人は5月までに国際大会でポイントを重ね、ランキング55位以内に入れば8月のリオデジャネイロ五輪に出場することができる。ホ・ミノは「5月までにポイントを重ねなければ、五輪に出場できません。だから、最初の大会が開かれる3月からすべてをかけるつもりで冬季トレーニングに臨んでいます」と話す。
トライアスロン韓国代表のシン・ジンソプ監督(39)は、「鎮川選手村の周辺は貯水池や山が多く、トライアスロンのトレーニングをするには最高の環境です。また、冬は屋内で競泳と自転車のトレーニングをすることができるので、滞りなくスケジュールを消化することができます」と語る。

リオデジャネイロ五輪での健闘を誓い合うキム・ジファン(左)とホ・ミノ(右)
韓国でのトライアスロンの歴史は、スポーツの世界的な流れにはやや出遅れた感がある。。大韓トライアスロン連盟は1987年に創設された。2000年の全国体育大会で公開競技として採択された。選手たちを育成し続けた結果、10年後の2010年広州アジア競技大会の女子個人戦でチャン・ユンジョン(29)が韓国トライアスロン界初の銅メダルを獲得した。ホ・ミノは、2012年ロンドン五輪で韓国選手として初の五輪出場を果たし、2014年仁川アジア競技大会のトライアスロン混合リレーではキム・ジファン、キム・ギュリ(19)、チョン・ヘリム(18)とともに銀メダルを獲得した。

2014年仁川アジア競技大会のトライアスロン混合リレーで銀メダルを獲得した韓国代表チーム。左から、キム・ジファン、キム・ギュリ、チョン・ヘリム、ホ・ミノ
このように韓国トライアスロンは、短期間で多くの成果を上げた。だが、世界の壁はまだまだ高い。2012年ロンドン大会で五輪初出場を果たしたホ・ミノも、身体能力に優れる外国人選手に圧倒され、55人中54位という結果に終わった。
シン監督は、「2012年ロンドン五輪に出場したホ・ミノ選手が最下位クラスだったことを鑑みれば、国際レベルにはまだほど遠いということは否定できません。でも、全国少年体育大会や全国体育大会を通じてトライアスロンは徐々に活性化しており、2014年仁川アジア競技大会では団体戦銀メダルという快挙を成し遂げました。2016年リオ五輪は、世界トップレベルの選手たちと対戦するだけに、メダルが狙いというよりはトップ25位入りを目標にしています」と話す。

トレーニングの後、鎮川選手村の入口の前でポーズをとる韓国トライアスロン韓国代表チームのホ・ミノ(左)とキム・ジファン(右)、シン・ジンソプ監督(中央)
27歳。やりたいことも多く、友だちとも遊びたい時期だ。幼い頃からトライアスロン一筋だった二人はどんな夢を持っているだろうか。
ホ・ミノは「トライアスロンは夢であり目標です。5歳のときから今までやって来たので、トライアスロンは私の人生のすべてです。これで成功したいし、目標を一つずつ達成していきたいです」と語る。キム・ジファンは「他のことなど考えたこともありません。トライアスロンは、いつも身近にいる職業、仕事、家族のような存在です。小さい頃からの目標は五輪に出て金メダルをとることです。その目標が目の前に来ているので、全力で頑張ります」と健闘を誓った。
コリアネット テ・ソル記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者、大韓トライアスロン連盟
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