熊の胆嚢である熊胆は肝機能を活発にし、胆石を溶かし、目をすっきりさせる効果があり、古くから貴重な薬剤として用いられてきた。熊胆の解毒作用は、熊胆に大量に含まれている「ウルソデオシコール酸(UDCA)」という構造を持つ胆汁酸のおかげだ。肝臓と腸の機能を助ける「ウルサ」は、このウルソデオシコール酸を合成したものだ。
発売から50年以上過ぎた今でも多くの人に愛用されている肝臓疲労回復剤「ウルサ」
50年以上にわたり韓国人の肝臓の健康を守り続けてきた「ウルサ」は、1961年の発売以来、韓国人の疲労回復剤として親しまれてきた。1954年に日本でUDCA合成法が発明されると、大熊製薬はこの技術を利用して「ウルサ」を開発、大量生産を開始した。
この薬の名称は、熊の意のラテン語「Ursus」とドイツ語「Ursa」に由来する。韓国の建国神話「壇君神話」にも登場する熊は、知恵と根気の象徴だ。
大熊製薬のロゴは、熊をイメージし、漢字の「熊」を変形させてデザインされている
発売当初、「ウルサ」は錠剤タイプだった。しかし、当時はコーティング技術の限界で味が苦くなり、後味が良くなかった。これを改善しようと数年間にわたる研究の末、1974年に韓国で初めて軟質カプセルの開発に成功した。「ウルサ」は、専門医薬品と一般医薬品に区分され、一般医薬品には大熊ウルサと複合ウルサの2種類がある。
「ウルサ」はユニークなCMで韓国で馴染みの薬だ。2011年に韓国プロサッカーのチャ・ドゥリ選手が登場したCMは、「肝臓のせいだ」というキャッチコピーで一躍有名になった
大熊製薬は、2010年の中国への「ウルサ」輸出を皮切りに、ベトナムやタイなどアジア地域への供給を開始した。すでにオーストラリアと輸出契約を締結し、2015年の米国市場への輸出に向け、米国食品医薬品庁(FDA)が承認する医薬品品質管理基準「CGMP」工場を構築し、製品認可を進めている。
1978年の「熊胆成分の肝腸薬」というCMの大ヒットにより、「ウルサ」の年間売上高は爆発的に伸びた。1983年には薬局で販売する飲料を除く単一医薬品として販売1位となった。大熊製薬は昨年、「ウルサ」を国内で約500億ウォン、海外で36億ウォン売り上げた。
ソウル江南区奉恩寺路の大熊製薬本社の全景
コリアネット イム・ジェオン記者
jun2@korea.kr