文化

2016.01.22

160122_paiknamjune_art2.jpg

ギャラリー現代(ソウル市鐘路区)の裏庭で前衛芸術家ヨーゼフ・ボイスを追悼するパフォーマンス「狼歩きで」を披露する白南準氏(1990年)


2016年、韓国では故ペク・ナムジュン(白南準)を追悼する催しが目白押しだ。
韓国を代表する現代芸術家で「ビデオアートの父」と称された故ペク・ナムジュン(白南準)氏の死去から10周年の今年、韓国では彼を偲ぶ様々な展示会が開かれる。

セジョン(世宗)文化会館美術館で昨年11月から展示「白南準‐グルーブ興」を開催。今年1月29日まで開かれる同展示会では、米国映像資料院が保管してきた白南準氏の映像や音楽、エピソードなどが紹介されている。この展示のハイライトは、大劇場のロビーに設置された「虎は生きている‐月琴、チェロ(2000年)」。

160122_paiknamjune_art1.jpg

世宗文化会館美術館に展示された白南準氏のビデオ・インスタレーション作品「虎は生きている‐月琴、チェロ」。この作品は、2000年元旦正午に臨津閣の野外ステージで公開されたミレニアム・プロジェクト「DMZ2000:The Millennium Celebration」で紹介された


ギャラリー現代では「白南準、ソウルで」が3月6日まで開かれる。同展示は、白南準が生涯の友と慕ったヨゼーフ・ボイス(Joseph Beuys、1921~1986)を追悼しようと1990年にギャラリー現代の裏庭で披露したパフォーマンス「狼歩きで」の写真とオブジェが公開される予定だ。

白南準アートセンターでは、白南準氏の命日である1月29日から3日間にわたり、白南準追悼10周年記念「ユートピア・レーザーTVステーション」が催される。このイベントは、インターネット・ネットワーキングを活用したユーチューブによるライブ追悼式と、白南準氏のシングル・チャンネル・ビデオ・スクリーニングやサウンド・パフォーマンスで構成される。

また、3月3日から7月3日まで、同じ会場で白南準10周忌追悼特別展「多重時間」が開かれる。同特別展では、白南準氏の作品と同時代のメディア・アーティストらの作品を融合させた展示が行われる。10月には白南準アートセンター、カンソン(澗松)美術館、トンデムン(東大門)デザインプラザ(DDP)が共同主催する白南準特別展がDDPで開かれる予定だ。

160122_paiknamjune_art3.jpg

世宗文化会館美術館に展示された白南準氏の作品「フィバー・オプティック(Phiber Optik)」(1995)。この作品は、テレビのモニタで人間を象り、人間の個性と人間とは違う機械時代の文明について考えさせる作品と評価されている


ソウル市立美術館では、6月14日から7月31日まで「白南準10周忌展」が開かれる。白南準氏の所蔵品ととともに彼の同志である「前衛芸術運動」の作家らの活動を紹介し、彼らの芸術魂が形成された背景と経緯にスポットを当てる。

メディアアートの創始者である白南準氏は、韓国で生まれ、中学時代をソウルと香港で、高校時代を日本で過ごし、東京大学で美学を専攻した。その後ドイツに渡り、欧州の哲学と現代音楽を学びながら同時代のアーティストらと活発に交流、芸術活動を展開した。1963年、テレビ内部の回路を改造した作品でメディア・アーティストの道を歩み始める。彼は、彫刻、インスタレーション作品とビデオ映像を組み合わせ、自由自在に編集できるシンセサイザーを開発、さらに音楽と人体への探求も極め、独自の芸術の世界を築いた。

コリアネット イ・ハナ記者
写真提供:ギャラリー現代、世宗文化会館
hlee10@korea.kr