文化

2016.04.21

「ニーハオ 中国」「シンチャオ ベトナム」「クムスタ フィリピン」「シャローム ウズベキスタン」「アパカバール インドネシア」…これらは各国の挨拶と国名を記した「多文化パッケージ」の一部だ。

多文化パッケージは子供たちに世界の異文化資料を理解しやすく紹介する一種の「動く博物館」。国立民俗博物館は2010年から多文化社会へと急激にシフトしつつある韓国社会の変化に合わせて文化多様性の理解と多文化に対する認識を改善させるために多文化パッケージを開発してきた。その結果、2010年のベトナム・モンゴルパッケージをはじめ、フィリピン(2011年)、韓国(2012)、ウズベキスタン(2013)、インドネシア(2014)、中国(2015)パッケージが作られた。今年は日本をテーマにしたパッケージを開発している。

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国立民俗博物館が2010年に開発したベトナムパッケージ(上)と昨年公開された中国パッケージ(下)

国立民俗博物館が2010年に開発したベトナムパッケージ(上)と昨年公開された中国パッケージ(下)



それぞれのパッケージは大人の背丈と同じくらい大きなパッケージと複数の小さいパッケージで構成され、各国の文化に対する理解を助ける実物資料と視聴覚資料、様々な学習資料が入っている。昨年公開された中国パッケージは、大きなパッケージ1つと紹介の箱、暮らしの箱、儀礼の箱が1つになった小さいパッケージを含め、計5つのパッケージで構成された。ここには中国の歴史や自然環境・衣食住・伝統祝日・遊び・楽器・子供の暮らしなど多様な文化の姿を見せてくれる実物資料・視聴覚資料・学習資料がある。中秋節の由来を教える中国の伝説『后羿と嫦娥』の絵本とフラッシュアニメなどが含まれている。実物資料は中国現地で購入し、北京民俗博物館関係者などの諮問を得て完成させた。

ベトナムとモンゴルパッケージなど他のパッケージも同じような内容となっている。ベトナムパッケージには伝統衣装のアオザイ、ベトナム式の羽根蹴りに使われる羽などの伝統的な遊び道具、伝統打楽器の「チョン・コム」などがある。モンゴルパッケージにはモンゴルの諸部族を統一し、世界帝国を築き上げたチンギス・カンの肖像とモンゴルの伝統的な移住式住居「ゲル」の模型、伝統楽器の「馬頭琴」などが入っており、子供たちの好奇心をそそる。

国別パッケージは国立民俗博物館附設子供博物館の教育で見ることができる。子供たちはパッケージの中にある各国の国旗・地図・貨幣・切手・伝統衣装・暮らし・遊び道具・教科書・楽器などの多様な資料を五感で感じ、観察や試着体験から相手国の文化に対する理解を広めることができる。そこで韓国文化と共通している部分と違う部分を比較しながら共に生きる方法についても考えられる。すべての授業にはその国出身の講師が 参加する。

国立民俗博物館の子供博物館で行われたパッケージ教育に参加した子供たちが、ウズベキスタンの文化についての授業を聞いている

国立民俗博物館の子供博物館で行われたパッケージ教育に参加した子供たちが、ウズベキスタンの文化についての授業を聞いている


パッケージ統合教育プログラムに参加した子供が親と一緒に韓国・インドネシア・ウズベキスタンの食文化について勉強し、ソース作り体験をしている

パッケージ統合教育プログラムに参加した子供が親と一緒に韓国・インドネシア・ウズベキスタンの食文化について勉強し、ソース作り体験をしている



子供たちがインドネシアパッケージ授業を受けている

子供たちがインドネシアパッケージ授業を受けている



博物館を訪問しなくてもパッケージを経験する方法はある。国立民俗博物館は隔週で教育現場を訪ねる訪問教育を実施している。小さいパッケージ3種は全国の博物館・学校・多文化センターなどの関連機関から無料レンタルでき、毎年100以上の機関がパッケージをレンタルしている。レンタルの申し込みは博物館のホームページでもできる。

多文化パッケージ事業は双方向の多文化疎通を強調する国立民俗博物館の千鎮基(チョン・ジンギ)館長の信念からスタートしたもの。千館長は「韓国の文化を発信するだけでなく、他の文化についても視野を広げ、人類が如何に共に調和をなして共存共栄するかを考えなくてはならない。そこで国立民俗博物館では異文化を共有し理解を広めるための多文化パッケージ事業を展開している」と述べた。

国立民俗博物館は各国の文化についての理解を助けるためのパッケージ事業を2010年から運営している。写真は各国の民俗文化の小物を紹介している千館長

国立民俗博物館は各国の文化についての理解を助けるためのパッケージ事業を2010年から運営している。写真は各国の民俗文化の小物を紹介している千館長



パッケージ多文化教育についての詳しい情報は博物館ホームページで確認できる。 http://www.nfm.go.kr/index.nfm

コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:国立民俗博物館、コリアネット チョン・ハン記者
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr