
26日、ケニア・ナイロビで開催されたイベント「海外韓国文化がある日」でケニア世宗学堂の学生らが韓国の民俗楽器による「サムルノリ」を演奏している
26日の午後6時頃、アフリカ東部ケニアのナイロビ。生い茂る木々に囲まれたサファリパークホテルの宴会場には200人余りの客が次々と訪れていた。
韓国語の専門教育機関であるケニア世宗学堂が準備したイベント「海外韓国文化がある日(Day with Korea Culture Abroad)」の晩餐会場だ。伝統と現代の韓国音楽が流れるなか、たくさんの料理が次々と登場した。あちこちで韓国式のご飯から湯気がたち、韓国人が好んで食べるトックク、インジョルミ、パッコムルトクなどが並び、ほかにも現地のシェフらが手馴れた様子でキムパやチヂミなどを作っていた。

ケニア人シェフらがチヂミやキムパなどの韓国料理を作っている
まず食前に舞台を飾ったのは「サムルノリ」の公演だった。
韓国の伝統打楽器であるチン、チャンゴ、ブク、クェンガリによる音の調和で演奏者と観客の興をそそるのがこの公演の役割。演奏者らは全員ケニア世宗学堂の学生だった。頼りない手つきではあったが、一生懸命演奏する姿に観客の声援とカメラのフラッシュが彼らを応援した。

26日のイベント「海外韓国文化がある日」でケニアと韓国の学生らが様々な音楽に合わせてダンスを踊っている
続いてケニアの学生で構成されたダンスチームがK-POPに合わせて完成度の高いカバーダンスを踊った。とくに『カンナムスタイル』をカバーしたダンスは、本来の振付を自分たちでより速くダイナミックにアレンジしたもので、会場からは自然と拍手が沸き起こった。その次にはケニアに住む10代の韓国人女子生徒らが韓国伝統舞踊の扇の舞やK-POPダンスを披露すると会場は熱狂的な空気に包まれた。この類のイベントに欠かせないのがテコンドーの演武。堅苦しい「型」ではなくストリートダンスさながらのテコンドーダンスを披露した。
公演が終わると晩餐会が始まり、あちこちでふんだんに用意された料理を皿にとるための行列ができた。誰もが満足気に微笑みながら楽しそうに会話を交わしていた。

たっぷりと用意された韓国料理を楽しんでいるケニア市民たち
国立ナイロビ大学で韓国学と政治外交学を専攻しているある学生は「将来は通・翻訳会社を設立して両国を行き来しながらビジネスをするのが夢だ」と語った。ケニアの主要都市キスム出身のこの学生は韓国語能力試験(TOPIK)で4級を取ったとのこと。4級は韓国で日常生活を送れるほどの中級にあたる。世宗学堂の韓国文化体験イベントや漢陽(ハニャン)大学への研修など4回にわたる韓国訪問の結果だ。
ケニアで韓国文化が親しまれ始めたのはつい最近のことだ。韓国語教育機関の世宗学堂が国立ケニヤッタ大学に設置されたのはわずか5年前の2011年9月。28年間戦闘機のパイロットとして軍生活を送り大企業の役員を務めたキム・ウンス学堂長が東奔西走して導き出した成果だった。

「海外韓国文化がある日」イベントで文化による交流協力の拡大を強調しているケニア世宗学堂のキム・ウンス学堂長
キム学堂長がケニアに来たのは偶然の出来事だった。カトリック信者のキム学堂長は韓国にある外国人労働者向けに教会で行われていた夜間学校でボランティアをしていた。そこであるケニア出身の労働者と知り合った。彼によると京畿道(キョンギド)坡州市(パジュし)文山邑(ムンサンウプ)一帯に住む大勢の外国人労働者が言語や文化の違いにより韓国社会に馴染むのに苦労しているとのことだった。「アフリカで韓国語を教えてほしい」と勧められた。それがきっかけになり、2008年に一人でケニア・ナイロビに渡り私費を投じてハングル教室を建てたのだ。ハングル教室は設立3年目に世宗学堂へと発展した。ケニア・ナイロビの世宗学堂は6カ月コースで毎学期30人余りの学生たちを教えており、これまで世宗学堂を修了した学生は700人余りに上る。
修了生のうち60人余りが高麗(コリョ)大学、梨花(イファ)女子大学、淑明(スクミョン)女子大学などに全額奨学金で留学し、ソウル市が運営する職業学校で技術を学んでいる。そのうちの一部は韓国企業に就職し働いている。
ケニア人が韓国語を学ぶ動機のうちの1つは、貧困から脱け出し産業化に成功した韓国の発展経験にある。マナハイム大学のハ・テヒョン学長は「ケニアの教育熱は発展が著しかった韓国の1960~70年代と似ている。経済的な余裕がなくても子供たちの教育に対する意欲が高い」と語る。
この日、共に学び、遊び、食べるうちにケニア人と韓国人の間には絆が芽生えていた。
コリアネット ウィ・テックァン記者
翻訳:イ・ジンヒョン
whan23@korea.kr