文化

2016.12.20

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国立中央博物館で開幕した「エジプト宝物展」で公開されている「トティルデスの棺(前700~400年)」。古代エジプト人にとってミイラは永遠の命につながるもので、ミイラにした身体には魂が宿る



古代エジプト人にとって死とは永遠の命を得るための通過儀礼のようなものだった。こうした古代エジプト人の死生観は死者の復活と永生の獲得を助けるために記された葬礼文書『死者の書』から窺える。古代エジプトの墓にミイラと一緒に埋葬されたこの文書は、死者が死後の世界で出会う神々をなだめ魂が無事冥界にたどり着くための手引きとして書かれた。古代エジプト人は死後の世界に入るための最後の審判で羽より軽い心臓を持つ者だけが復活できると信じた。

これほど永遠の命を渇望した古代エジプトの人や動物のミイラと棺、様々な彫刻、装身具などの遺物229点が韓国の観覧客のもとを訪れた。20日に国立中央博物館で幕を開けた特別展「エジプト宝物展」では米ニューヨークのブルックリン美術館の収蔵品が公開される。

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「エジプト宝物展」を訪れた観覧客が骸をミイラに加工するときに取り除かれた臓器を保管する「カノープス壺」を鑑賞している



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死後の世界で死者の畑仕事や雑用を助けるために副葬された小像「シャブティ」。小像には主人の名前と職業が刻まれている



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ダイナミックな動物の形を刻んだ4世紀頃の建築装飾。左から野生の豚・ガゼル(または羊)・ハイエナ・犬と推定される



展示は古代エジプト人が永遠の命を信仰するきっかけとなった神話を紹介するところから始まる。原初の神オシリスは弟のセトに殺されるが妻イシスの助けで復活し「最後の審判」で死者を裁く死と復活の神となる。この物語により古代エジプト人は死後の世界を夢見て死を準備するようになった。

古代エジプトでは貴族から庶民に至るまで誰もが永遠の命を得るため、死後は骸をミイラに加工して複雑な葬礼の儀式を執り行った。貴族は高価な材料で葬儀を準備し、経済的な余裕がない庶民は金メッキのものや金の代わりに土でつくった葬具を用いた。最初のコーナーでは本物のミイラと棺、ミイラに被せた男女のマスクや蓋などを見ることができる。当時の人々が彼岸の世界があることを願いながら用意した宝石入りの装身具・化粧道具・食べ物を保管していた壺・死後も下僕として使える「シャブティ」像などが見る者の目を引く。

とくに今回の展示では古代エジプト独特の動物崇拝の様相を窺い知ることができる。古代エジプト人は動物が人とともに創造されたと考え、動物にも永遠の命があると信じて動物のミイラをつくった。展示場には猫や朱鷺(とき)のミイラと棺、そして古代エジプトの神々を象徴する鷹・コブラ・雄牛・猿などをかたどった石造が観覧客を出迎える。

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「エジプト宝物展」では古代エジプト独特の動物崇拝の様相を見ることができる。安産と多産を意味する蛙、富と社会的な地位を意味する猿、復活を象徴する針鼠などが目につく



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ブルックリン美術館のアン・パステルナーク館長(右)と関係者らが「エジプト宝物展」の開幕を前に国立中央博物館・企画展示室を視察している



ブルックリン美術館のアン・パステルナーク館長は「今回の展示でブルックリン美術館が収蔵する古代エジプトの代表的な遺物を韓国の観覧客にお披露目したかった。長い間友好関係を保ってきた韓国国立中央博物館からこうした機会を頂き大変光栄に思っている。現代人と古代エジプト人をつなぐ『エジプト宝物展』は当時貴族から庶民まで誰もが夢見た『永遠の命』への信仰を体験できるチャンス。古代エジプト人の生涯に投影された我々の姿を見つけることが観覧ポイント」と述べた。

同展示は来年の4月9日まで続く。観覧料は大人1万3,000ウォン、大学生・中高生1万1,000ウォン、小学生8,000千ウォン。

コリアネット イ・ハナ記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
翻訳:イ・スミン
hlee10@korea.kr