「冷たく冷やして食べる麺料理」を意味する冷麺は韓国の先祖たちが寒い冬に好んで食べた料理の一つ。スープとして使われるトンチミの主材料である大根が旬で求めやすかったため冬によく食べていた。実際、朝鮮後期の年中行事や風習について記した『東国歲時記』では「冷麺は11月の冬至の日に食べる料理」と紹介されている。
冷麺は朝鮮時代の宮中でも広く愛された。とくに高宗(コジョン、1852ー1919)は冷麺好きとしてよく知られる。刺激的な味を嫌った高宗は冷たいトンチミのスープに麺を入れ、蒸した豚肉の薄切り、松の実、梨をのせた冷麺を夜食としてよく食べたという。この他にも様々な宴について書き残した『進饌儀軌』や朝鮮後期の料理本『是議全書』にも冷麺に関する記録が残っている。
また冷麺は体にも良い。まず麺の蕎麦粉について朝鮮時代の代表的な医書『東医宝鑑』には「蕎麦は胃腸を丈夫にし気を満たす。五臓に溜まった老廃物を溶かして失くす」とある。またトンチミスープの主材料の大根には消化を促す働きがある。
冷たくして食べる冷麺は先祖たちが冬に好んで食べた料理。冷麺のつゆは牛肉の出汁に熟成したトンチミスープを入れたり、夏場はヨルムキムチのスープを使うことも
冷麺の作り方は地域によって蕎麦麺を牛肉の出汁に入れて食べる平壌(ピョンヤン)冷麺とじゃがいもやさつま芋の澱粉で作った麺をピリ辛の合わせ調味料に絡めて食べる咸興(ハムフン)冷麺の2つに大きく分かれ、それぞれ人気を博している。平壌冷麺に比べ咸興冷麺の方がコシが強いのが特徴。
**材料と分量
冷麺の麺(乾麺)360g、茹で水3kg(15カップ)
牛肉(骨付きバラ肉)300g、水2.2kg(11カップ)
香味野菜:ネギ20g、ニンニク20g
合わせ調味料:薄口醤油9g(大さじ1/2)、塩24g(大さじ2)、砂糖24g(大さじ2)
お酢45g(大さじ3)、発酵カラシ6.5g(大さじ1/2)
キュウリ50g(1/4本)、塩1g(小さじ1/4)
ダイコン100g、塩1g(小さじ1/4)、砂糖2g(小さじ1/2)
粉唐辛子(細かいもの)1.1(小さじ1/2)、お酢15g(大さじ1)
ナシ100g(1/5個)、水100g(1/2カップ)、砂糖4g(小さじ1)
卵120g(2個)、茹で水1kg(5カップ)、塩4g(小さじ1)
松の実(少々)
冷麺の主材料は冷麺用の麺、牛肉、ナシ、キュウリ、ネギ、ダイコン、ニンニク、卵、松の実、糸唐辛子
**材料の下準備
1.牛肉は血を拭き取り、香味野菜はきれいに手入れをしてから洗っておく。
2.鍋に牛肉と水を入れて強火に10分ほどかけ、沸騰したら中火で1時間ほど煮る。さらに香味野菜を入れて弱火で30分煮込む。
3.茹でた牛肉は冷やして縦2cm・横4cm・厚さ0.2cm程度に切り(80g)、茹で汁は冷まして綿布で濾した後合わせ調味料と混ぜ合わせる。
4.キュウリは板摺りをしてきれいに洗い、縦に2等分して厚さ0.2cm大に斜め切りした後塩水に20分ほど漬ける。
5.ダイコンは洗って皮を剝いたら長さ5cm・厚さ1.5・厚さ0.2cmに切って塩・砂糖・きめの細かい粉唐辛子・お酢を入れ、20分ほど漬ける。ナシは皮を剥いて厚さ0.2cmの三日月型に切って砂糖水に漬ける。
鍋に牛肉と水を入れて強火に10分ほどかけ、沸騰したら中火で1時間ほど煮る。さらに香味野菜を入れて弱火で30分煮込む
** 作り方
1.鍋に卵と水、塩を入れて強火に5分かけ、沸騰したら中火にして12分ほど茹でる。茹で上がった卵は水に入れて冷まし殻を剥いて縦に2等分する。
2.鍋に水を入れ強火に12分ほどかける。沸騰したら麺を入れて2分ほど茹で、茹で上がったら水で揉むように洗い、ざるに上げて水をきる。
3.麺を器に盛り、下準備した茹で肉・キュウリ・ダイコン・ナシ・卵・松の実・糸唐辛子などで飾り付け、冷やした牛肉の出汁を注ぎ入れる。
沸騰したお湯に麺を入れて2分ほど茹で、茹で上がったら揉むように水で洗い、ざるに上げて水をきる
麺を器に盛り、下準備した茹で肉・キュウリ・ダイコン・ナシ・卵・松の実・糸唐辛子などで飾り付け、冷やした牛肉の出汁を注ぎ入れる
編集:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:韓国伝統飲食研究所
資料:美しい韓国料理100選
翻訳:イ・スミン
arete@korea.kr