文化

2020.07.01

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インタビューに応じる誠信女子大学校の徐坰徳教授=6月26日、ソウル、ゾン・ハン撮影


[ソウル=キム・ヨンドク、キム・ウニョン]

日本政府は先月15日、ユネスコの世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」(23施設)を説明する産業遺産情報センターの一般公開を始めた。「朝鮮人の徴用工への差別や虐待は、聞いたことのない話」という事実を歪曲する証言を展示。

これについて、誠信女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授は、コリアネットとのインタビューで、「(日本が)事実を歪曲している」と指摘し、「むしろ強制動員の事実を世界に知らせる良いチャンスだ」と主張した。

一問一答は、以下の通り。


-日本政府が国際社会との約束を破棄したのか。

2015年に駐ユネスコ日本大使を務めた佐藤地さんは、当時7月のユネスコ世界遺産委員会で、朝鮮人の強制動員の事実を明示すると約束した。しかし、情報センターには、しかし、情報センターには、佐藤さんの当時の発言が記述されているだけで、日本政府はそれをもって約束を守ったと主張している。第二次世界大戦中に、強制動員政策を施行した事実を明記するという約束を破棄したことになる。もうすでに予見されたことだ。

ここ5年の間、日本政府が軍艦島(端島)・高島・三池炭鉱を視察し、国際社会と約束した内容をどのように履行しているかに注目していた。しかし、案内文・広報物や拡張現実(AR)、仮想現実(VR)サービスにも「強制動員」という言葉を見つけることができなかった。

-約束破棄を立て直すため、ユネスコに求められることは。


これに関して、数回ユネスコにメールを送った。ユネスコが日本の分担金に左右されてはいけないという内容は必ず記述している。ユネスコは、日本の分担金が多いからといって、振り回されてはいけない。


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軍艦島に設立された「明治日本の産業革命遺産」=徐坰徳撮影


-海外にも類似した事例があるのか。


2001年に世界遺産に登録されたドイツのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群がある。第二次世界大戦中に、ユダヤ人と戦争捕虜がツォルフェアアイン炭鉱に動員され、強制労働させられた。ドイツ政府は、炭鉱の入り口に強制動員があったことを表記し、歴史を正しく紹介した。そのため、世界遺産の登録に際し、周辺国からの反対がなかったのだ。

-軍艦島を毎年訪問している。現場の雰囲気について。


観光ガイドは、外国人観光客に軍艦島が明治日本の産業革命遺産の一つであり、世界遺産に登録されたことのみを紹介している。島の一部分だけが観光でき、強制動員労働者の生活が分かる空間は見せてもらえない。正しい歴史を学ぶことができないのだ。

-日本メディアの反応は。


世界遺産に登録されたことは知っている。しかし、強制動員問題に関する教育がなされていない状況では、知るすべもない。ただ、日本のメディアにも動きは見られる。共同通信は、情報センターの公開について、歴史修正主義を助長する恐れがあると指摘した。


-これからどうなると思うか。

日本が事実を歪曲していることを逆利用し、世界に歴史的事実を正しく知らせる良いチャンスだと思う。これがきっかけとなって、日本が動けば(日本が)歪曲した他の歴史も正すことができるのではないか。情報センターがそのアキレス腱として作用するだろう。


kyd1991@korea.kr