演奏するピアニストのソヌ・エイゴン氏=9日、ソウル
[ソウル=キム・ヘリン]
[写真=国立シンフォニーオーケストラ]
9日の夜、ソウル・鍾路区にある青瓦台のヘリポート芝生で、野外クラシックコンサート「2023ブルーハウス」が開かれた。この場所は大統領府であったが、昨年5月から一般に開放されている。
真昼の暑さが過ぎ去り、風が涼しく感じられ、薄闇が立ち込め始める頃、青瓦台の前はコンサートを見に来た、わくわくした表情の観客でにぎわい始めた。
家族や友だちと一緒に来た観客はコンサートが始まる前、会場に設置されているフォトゾーンで写真を撮ったり、青瓦台の全景を見たり、それぞれの方法で会場の雰囲気を満喫した。
演奏するハーモニカ演奏者パク・ジョンソン氏=9日、ソウル
文化体育観光部、国立シンフォニーオーケストラ、国立オペラ団が共催したコンサート。オーケストラ公演を中心に、様々なジャンルの音楽12曲が演奏された。
国立シンフォニーオーケストラが演奏する、チャイコフスキー作曲のオペラ「エフゲーニ・オネーギン」の「ポロネーズ」で幕が開いた。
楽器の美しい旋律に、虫たちの鳴き声が静かに加わり、秋の雰囲気が感じられた。
2017年のバン・クライバーン国際ピアノコンクールで、韓国人として初めて優勝したピアニストのソヌ・エイゴン氏は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏した。ラストに向かってさらに盛り上がっていく、圧倒的かつ情熱的な演奏に観客は息をのんで集中した。
続いての公演は、ハーモニカ演奏者パク・ジョンソン氏。韓国の伝統民謡「セヤセヤ(鳥よ、鳥よ)」をオーケストラと共演した。清らかで物悲しい音のハーモニカが伝統民謡を奏でると、メロディーの切なさが最大限に引き出された。ソリクン(韓国の伝統音楽であるパンソリなどの歌い手)のコ・ヨンヨル氏と鼓手のコ・ソクジン氏のパフォーマンスでは、韓国ならではの「フン(ノリやテンションを意味)」が感じられた。コンサートを見に来た子どもたちも太鼓の音に合わせて足をどんどん踏み鳴らし、拍手をしながら公演を楽しんだ。
ソリクンのコ・ヨンヨル氏=9日、ソウル
パフォーマンスするMAMAMOOのメンバー、ムンビョル(左)とソラ=9日、ソウル
K-POPグループ「MAMAMOO+」のムンビョルとソラは、自分たちの新曲「デンデン」をオーケストラの伴奏に合わせて披露した。また、ヒット曲の「Um Oh Ah Yeh」を歌うと、会場は一気に盛り上がった。
この日の公演は、観客の耳と目を、どちらも満足させた。会場を囲むように設置された約10台のスクリーンには、音楽と調和するメディアアート作品が上映された。ドボルザークの「スラーブ舞曲8番」の演奏では、緑色のレーザーがリズムに合わせて動いた。
オーケストラが演奏する、ラヴェルのバレエ曲「ボレロ」のリズムに合わせて、約300台のドローンが踊るドローンショーがコンサートの最後を飾った。観客は歓声を上げ、携帯電話でドローンショーの様子を撮影した。
ドローンショー=9日、ソウル
末娘と二人で来たチョン・ソンギュ氏は「国立シンフォニーオーケストラの公演によく行く」とし、「国楽(韓国の伝統音楽)とK-POPがコラボするのは珍しいので、今日は特に楽しかった」と話した。
仲間と来たパク・ボグム氏は「青瓦台という場所が与える特別さに、秋の夜に楽しむ野外コンサートという点があいまって、とても良かった」とし、「特に、ハーモニカで韓国的なメロディーを奏でた公演が記憶に残っている」と話した。
ファン・ヨンギョン氏は「クラシックに詳しい外国人なら、クラシックと韓国固有の旋律が調和した今日のような公演をもっと楽しく観覧できるだろう」とし、韓国文化に興味のある外国人に青瓦台で開催されるコンサートをおすすめした。
国立シンフォニーオーケストラが演奏する様子=9日、ソウル
この日のコンサートを皮切りに、11月まで青瓦台では様々な野外公演が披露される。21日から来月28日まで、国楽管弦楽団による創作曲公演や伝統公演が行われる。28日から3日間は「Kミュージック・フェスティバル」が開催され、国楽を中心にK-POP、トロットなど様々なジャンルの音楽が披露される。来月7~8日は、ピアニストの梁邦彦などが参加する、クロスオーバー公演が行われる。また、韓米同盟70周年を記念するクラシック公演も11月初めに行われる予定だ。
kimhyelin211@korea.kr