文化

2025.05.09

写真は、今回の特別展に展示されたカヌー船首の彫刻像などの遺物。

写真は、今回の特別展に展示されたカヌー船首の彫刻像などの遺物。


[ソウル=ソ・エヨン、シャルル・オデゥアン]
[写真=イ·ジョンウ]

地球総面積の3分の1を占め、数多くの島が星のように散らばった太平洋。この巨大な海で人類は航海し、島を探し、独自のルーツを作った。海と島で構成されたオセアニアで文化が花を咲かせた。

先月29日、オセアニア文化圏に関する展示のマスコミ公開会が、韓国で初めて公開された。国立中央博物館とフランスのケ・ブランリージャック・シラク美術館が、特別展「マナ・モアナ 神聖な海の芸術、オセアニア」を合同で開催した。

「マナ・モアナ」を見れば、今回の展示が企画された意図がわかる。ポリネシア語で「マナ(Mana)」はすべての存在に宿る神聖な力を、「モアナ(Moana)」は境界のない巨大な海を意味する。カヌー、彫刻、楽器、装身具など、18~20世紀の遺物と現代作家の作品179点を紹介する。

「霊的な力を持つマルパイのお守り」。非常に小さなココナッツに精巧な彫刻をした後、石灰を塗った

「霊的な力を持つマルパイのお守り」。非常に小さなココナッツに精巧な彫刻をした後、石灰を塗った


展示は、メラネシアとポリネシア地域の物語から始まる。オセアニア人の航海と定着の過程、太平洋地域の原住民の海洋文化に関する遺物を紹介する。数千年にわたって発展した精巧な航海術やカヌーの製作技術などを見ることができる。

カヌーの船首の彫刻「ドガイ」、カヌーの後部を飾った彫刻「タウラパ」などは、航海におけるオセアニア人の世界観を見せてくれる。「ヘイティキ」というネックレスも代表的な遺物である。マオリ族とって、血統と生命力のシンボルである。女性は妊娠・出産時に、男性は戦争に出る時に身につけた。

「ドガイ」(左)と「ヘイティキ」

「ドガイ」(左)と「ヘイティキ」


オセアニア芸術のハイライトは、装身具と工芸だ。鯨の歯、ココナッツで作った繊維、螺鈿(らでん)など、様々な自然素材から芸術を生み出した。

今日まで続いてきたオセアニアの芸術も紹介する。オーストラリアの先住民の芸術を代表する作家、エミリー・カムウンワレイ(1910~1996)の作品が展示された。「無題」は、女性が儀式の時に土地や先祖とのつながりをたたえ、体に描いた伝統模様を表現した。

展示された「タパ」。樹皮をたたいて作った布だ。

展示された「タパ」。樹皮をたたいて作った布だ。


オセアニアの芸術は、自然と人間の関係性を考えさせてくれる。彼らの伝統的な世界観によれば、海は神聖なものであり、世のすべての存在をパートナーとする。環境の変化により、様々な危機に直面している今、彼らの世界観は、人類に持続可能な人生の知恵を示してくれる。

芸術を通して、神話と先祖を蘇らせることで、文化の多様性とアイデンティティの回復が大切であることを伝えている。自身の文化に根を置きながらも、他の文化を尊重するオープンマインドがうかがえる。

特別展の展示期間は、9月14日まで。

xuaiy@korea.kr