食・旅行

2022.05.05

韓国の著名な美術史学者のユ・ホンジュン氏は、自分の著書の中で「知っている分だけ見える」と述べている。有名な場所も、いつもと同じ日常も、どれだけ知っているか、どんな視点で見るかによって、見える風景は違ってくるからだ。

Korea.netは、韓国の地域文化や旅行先を紹介するコンテンツを連載する。ネットなどですでに知られている有名な場所は、人と地域が作り出した物語を中心に、新しい視点で紹介する。韓国各地の隠れた名所を探し、その魅力をKorea.net読者の皆さんにお伝えする。


[南海=ユン・ヒヨン、キム・ウニョン]
[映像=イ・ジュンヨン]

■ Hidden Charm 1┃良阿里の柱状節理

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ピアノの鍵盤に似ている岩=イ・ジュンヨン撮影


南海(ナメ)・尚州(サンジュ)のビョクリョン港から船で20分ほど行くと、良阿里(ヤンアリ)の柱状節理(ちゅうじょうせつり)が見える。大きな屛風のように屹立(きつりつ)し、多角形の柱がずらりと並ぶのが特徴。「ピアノの鍵盤に似ている」と船長の崔吉東(チェ・ギルドン)さんは言う。


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亀の洞窟と竜王の岩=イ・ジュンヨン撮影


一昔前には、竜の鱗に似ており「竜が舞い上がる」場所として知られていた。柱状節理の下には、竜王が亀に乗り、海を渡る様子を連想させる洞窟と岩がある。竜王が亀の模様をした岩に生命を吹き込んだという説話がある。

■ Hidden Charm 2┃タレンイ村


米CNNが選定した「訪れるべき韓国のおすすめスポット50選」の一つである、南面(ナムミョン)の「タレンイ村」。そこには住民らの「悲しさ」と「苦しさ」が共存する。近くに海があるが、周囲が絶壁という生活環境のせいか、船は見当たらない。田んぼも造ることができず、住民らは斜面に石垣を積んで108段を超える棚田を作り上げた。「強靭な忍耐力と努力の結晶だ」と同郡の文化観光解説士を務める孫惠蓮(ソン・へリョン)さんは言う。


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サッカッベミ=イ・ジュンヨン撮影


「サッカッベミ」という言葉がある。農夫の笠に隠れて見えないくらい小さいサイズの田んぼをいう。南海の農夫らは、猫の額ほどの広さでも大事に耕してきた。その誠実さと切実さが感じられる。

■ Hidden Charm 3┃防潮魚付林

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防潮魚付林=南海観光文化財団


三東洞(サムドンミョン)勿巾里(ムルゴルリ)の近くに位置する防潮魚付林。17世紀、自然災害から村を守るために造られた森のことだ。100種類1万本の木が海岸線に沿って植えられており、観光客の目を楽しませている。


陰暦10月15日になると、村の伝統祭事「トンジェ」が開かれる。村の安全や豊作豊漁を祈願する。住民から選ばれた3人が儀式を行った後、村のみんなで料理を食べる。住民の金在明(キム・ジェミョン)さんは「単なる儀式ではなく、村の歴史として継承したい」と言う。

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トンジェ=南海観光文化財団


ある人が村の木を勝手に切り、村がひどい目に遭った。住民らは木を切らないと約束し、それを破った人には罰金が科せられた。

■ Hidden Charm 4 ┃ソ島(スェソム)

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鄭旺時さん(左)と妻の曺惠珣さん=イ・ジュンヨン撮影


約30年間、都市生活を送った鄭旺時(チョン・ワンシ)さんと妻の曺惠珣(チョ・ヘスン)さん。田舎暮らしに憧れて南海のソ島(スェソム)に移り住み、夫婦でカフェとペンションを営んでいる。最初は済州島に移り住もうと思っていたが、南海の風景に魅了されたという。ソ島は内陸部とのアクセスも良い。曺さんは「時間が経つにつれ、景色が変わることも見どころの一つだ」とし、「私は太陽の昇る少し前のほの暗い時が一番好きだ」とコメントした。


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ソ島(スェソム)=イ・ジュンヨン撮影


hyyoon@korea.kr