マッコリは、濁酒の中でアルコール度数が最も低い酒だ。
麹部屋の様子
発酵が終わったマッコリをふるいに掛ける作業
韓国の酒は大きく清酒、濁酒、焼酎(沸騰させて蒸留した酒)の3つに分けられる。マッコリは、濁酒のうち、アルコール度数が最も低い酒。長い歴史を持つマッコリ。三国時代(高句麗・新羅・百済)の様々な文献には、マッコリの造り方に関する記録が記されている。
祖先にとってマッコリは、汗をかきながら働いた後に飲む、渇きをいやしてくれる飲み物であり、また空腹を満たしてくれる食糧だった。劉氏は「農作業中、腹が減ってきたら、田畑で一杯飲んで、空腹をしのいだ酒」と定義した。韓国の有名な詩人の千祥炳(チョン・サンビョン)氏は、マッコリのことをご飯に例えた。
マッコリが空腹をしのぐご飯のような酒として認識されたのは、作り方と関係がある。昔は、伝統の麹に水と穀物を入れて発酵させた穀酒から、澄んだ清酒を汲み出した後、その沈んだ酒粕に水を混ぜてこす方法でマッコリを造った。酒粕が満腹感を与えてくれるのだ。
最近は、マッコリの作り方が根本的に変わった。清酒を造って残った副産物を活用するのではなく、マッコリそのものをおいしくするための造り方を採択している。韓国伝統酒の根本とも言える伝統麹を使い、人工甘味料を入れずに、濁酒の五味(甘味・酸味・苦味・渋味・辛味)を再現した「プレミアム・マッコリ」を生産するメーカーも登場した。一時、ビールや焼酎、ワインなどに押されていたマッコリが最近、復興期を迎えている理由でもある。
マッコリは、内需と輸出の両方とも堅調な成長が続いている。韓国農水産食品流通公社によると、2020年の酒類市場の規模は1.6%縮小したが、マッコリ市場の規模は52.1%拡大した。韓国内のマッコリ小売り市場の規模は、2016年の3000億ウォン台から、去年には5000億ウォン台にまで大きくなった。
輸出も継続的に増加し、去年におけるマッコリの輸出額は1570万2千ドルで、前年比27.7%増加した。今年1~3月期の輸出額は424万8千ドルで、前年同期比11%増となった。主な輸出先は、日本(約719万ドル)、米国(約290万ドル)、中国(約153万ドル)など。
メーカー別でみると、「麹醇堂(クッスンダン)」の年間輸出額が100万ドルを突破した。「裵商冕(ペサンミョン)酒家」の場合、去年の輸出額は前年比274%急増した。「ソウル長寿」は、ベトナム・オーストラリア・カンボジア・米国・日本などへと輸出を拡大し、現在27カ国・地域に輸出している。韓国農水産食品流通公社が発表した「2021酒類市場トレンド報告書」によると、マッコリ輸出の増加要因について「韓国ドラマや映画を通じて、韓国食文化への関心が高まったため」と分析している。