食・旅行

2023.12.01

文化体育観光部は「文化魅力100選(ローカル100)」を通じて各地域の名所、コンテンツ、名人などを紹介し、地域文化の価値を発信している。コリアネットはローカル100の中で、外国人におすすめする隠れた名所を紹介する。

聞慶セジェ道立公園の全景=慶尚北道・聞慶市、アフメットジャノバ・アイスル

聞慶セジェ道立公園の全景=慶尚北道・聞慶市、アフメットジャノバ・アイスル


ムンギョン=アメフトジャノバ・アイスル

朝鮮の初代国王である李成桂(イ・ソンゲ、1392-1398)は、首都の漢陽(ハンヤン、現ソウル)を中心に全国を結ぶ道路網を整備した。そのうち東莱(トンレ、現釜山広域市)と漢陽(ハンヤン)を最短距離で結ぶ約377キロメートルの長さの区間は嶺南大路(ヨンナムデロ)と呼ばれた。

嶺南大路上にある最も高くて険しい峠が聞慶セジェだ。聞慶セジェとは聞慶(ムンギョン)にある峠という意味で、忠清北道・槐山(クェサン)郡と慶尚北道・聞慶市の境界にある海抜1,026メートルの鳥嶺山(チョリョンサン)と聞慶市にある1,039メートルの主屹山(チュフルサン)の間の渓谷に沿って置かれた海抜642メートルの峠道だ。朝鮮時代、嶺南地方の士人たちが、漢陽に科挙試験(官僚登用の制度)を受けに行くために通った峠としてよく知られている。

ソンビたちが聞慶セジェを経た理由は、漢陽まで最短時間である14日で行くためでもあったが、聞慶の地名は、文字通り「慶事の便りを聞くことができるうれしい場所」という意味でもあった。そのことから、聞慶セジェを「壯元及第道(首席合格道)」と呼ぶこともあった。

聞慶セジェ第1関門の主屹關=慶尚北道・聞慶市、アフメットジャノバ・アイスル

聞慶セジェ第1関門の主屹關=慶尚北道・聞慶市、アフメットジャノバ・アイスル


コリアネットは先月14日、慶尚北道・聞慶市にある聞慶セジェ道立公園を訪れた。公園の入口に近づくと、聞慶セジェを代表する3つの関門のうち、第1関門である主屹關(チュフルグァン)が見えた。第1関門ではあるが、第2関門(鳥嶺關)より後に作られた。文禄・慶長の役(1592-1598)の期間中である1594年、倭軍を防ぐために第2関門が最初に設置され、軍事的要衝地と認識され、1708年に第1関門と第3関門(鳥嶺館)が順に築造された。

第1関門のそばには城隍堂がある。聞慶セジェを守護する城隍神を祀るこの場所は、1700年頃に建設され、数回補修したという記録が伝えられている。この日、同行した解説員の鄭喜烈(チョン・ヒヨル)氏は、「10月に周屹山の山神祭および阿氏の城隍祭が開かれた場所」と説明した。

聞慶セジェ道立公園にある聞慶セジェのオープンセット場=慶尚北道・聞慶市、聞慶市

聞慶セジェ道立公園にある聞慶セジェのオープンセット場=慶尚北道・聞慶市、聞慶市


第1関門から第2関門まで歩きながら見られる名所として、聞慶セジェのオープンセット場があげられる。ここは、ドラマ「太祖王建」(2000)をはじめ、「武人時代」(2003)、「太陽を抱く月」(2012)、「キングダム」(2019)などのロケ地として有名だ。

また、嶺南大路の主要区間である聞慶セジェは、多くの人の往来があり、宿屋や食堂を兼ねた居酒屋である「酒幕(チュマク)」が多くあるところとしてもよく知られている。鄭解説員は「朝鮮時代に、セジェ道を行き来していた人々が、旅行の疲れを取るために休憩を取った場所」と説明した。

第2関門を過ぎて長元級制の道に沿って歩いていくと、2メートルほどの石の山である「チェクバウィ」が目を引く。病気の息子のために3年の間、自分の家の敷地を取り囲む石を場所を移して積み上げ、それに向かって祈ったところ、息子が健康を取り戻し、壯元及第したという伝説を持つ石の塔だ。鄭解説員は「このような伝説があるため、朝鮮時代に科挙試験を受けに行ったソンビたちが石を積み上げ、壯元及第(首席合格)を願った」として「現在でも多くの人が、合格祈願やそれぞれの祈願成就を祈っている」と説明した。

聞慶セジェチェクバウィ=慶尚北道・聞慶市、聞慶市

聞慶セジェのチェクバウィ=慶尚北道・聞慶市、聞慶市


聞慶セジェの一番高いところにある第3関門から歩いてきた道を見下ろすと、白頭大幹(ペクトゥデガン)の裾が広がる。鄭解説員は第3関門が「北側から侵入する敵を防ぐために作られた」として「聞慶セジェは、高麗時代の初期から重要な交通路の役割を果たしていた場所」と説明した。

第1関門から第3関門までの距離は、計6.5キロメートルで、片道2時間程度かかるコースだ。第2関門までは靴を脱いで歩く人を見かけるほど、柔らかく緩やかな黄土道だが、第2関門から第3関門までは傾斜が急だ。鄭解説員は聞慶セジェでも「散歩からトレッキングまで幅広く楽しめる」とし「春夏秋冬どの季節見どころ満載で楽しめる場所」と話した。

聞慶セジェ第3関門の鳥嶺館=慶尚北道・聞慶市、聞慶市

聞慶セジェ第3関門の鳥嶺館=慶尚北道・聞慶市、聞慶市


聞慶セジェに行く時に、知っておくとためになる情報

# 聞慶セジェ道立公園は、ソウルで市外バスを利用するのが一番楽だ。東ソウル総合ターミナルから聞慶バスターミナルまで約2時間かかる。 (1日11回運行)

# 聞慶セジェ道立公園の入場料は無料で、聞慶セジェのオープンセット場は2000ウォン(約227円)。

# 聞慶セジェ道立公園は、訪問客のための電動車サービスを提供している。詳細は聞慶市のホームページ(https://www.gbmg.go.kr/tour/contents.do?mId=0101010100) )で確認できる。

aisylu@korea.kr