名誉記者団

2020.03.09

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新型コロナウイルスを防ぐため、ビルの入り口に置かれている手指消毒液で手を消毒する人。後ろには、新型コロナウイルスの予防対策などが書かれている案内板が設置されている=5日、ソウル、イ・ギョンミ撮影


[ソウル=田村温子(日本)]


現在世界中で流行しているコロナウイルス。
韓国でも猛威を振るっており、韓国では「コロナ19」などと呼ばれています。

韓国では、卒業式の中止・開校の延期がなされたり、航空会社が飛行機の運休を決定したり、音楽関係の授賞式やイベントが中止・延期になったりと、社会全般に大きな影響を与えています。

●地域の対処

韓国では早い時期からスーパーや市場、ビルの入口など、様々なところに消毒液が置かれており、予防の意識が高かったように感じます。



マスクを着用している街の人々=聯合ニュース

マスクを着用している街の人々=聯合ニュース


もともと韓国では年配の方をはじめ、マスクをしない人が多いのにも関わらず、今は外に出ると9割以上の人がマスクをしており、今回は市民の予防意識も高く感じられます。 特に、多くの人が集まる役所や大学などでは、サーモグラフィーカメラを設置して、訪問者の体温を測定しています。



訪問者の体温を測定するためにビルの入り口に設置されたサーモグラフィーカメラ=5日、ソウル、イ・ギョンミ撮影

訪問者の体温を測定するためにビルの入り口に設置されたサーモグラフィーカメラ=5日、ソウル、イ・ギョンミ撮影


また、2月の頭の時点で感染者が立ち寄ったとされるショッピングモールや免税店は、休館して消毒を行ったり、営業時間が変更・短縮になったりと、初期から臨機応変に素早い対応をしていました。



役所の出入口が閉鎖され、他の出入り口を利用するよう案内する告知=5日、ソウル、イ・ギョンミ撮影

役所の出入口が閉鎖され、他の出入り口を利用するよう案内する告知=5日、ソウル、イ・ギョンミ撮影


私が先日行ってきた役所は、普段は出入口が何カ所もあって、いろんなところから出入りできるのですが、出入口を3カ所のみに限定し、入口にサーモグラフィーカメラ設置、受付では名前、性別、中国訪問の有無、電話番号、住所などを記入するようになっており、徹底した管理が行われていました。

保健所には選別診療所が設けられており、テントやコンテナ、防備服を着た人が見え手前には救急車が待機していました。

● 過ごし方、生活がどう変わったか

必要最低限の外出しかしておらず、週末も家で映画を見たりして過ごしています。

食材もスーパーでは買わず、ネット注文をしている人が増えているそうで、スーパに来ているお客さんも心なしか少ない気がしました。

ビュッフェ・バイキングなど外食も不安で避けており、うちは100%自宅で食事をしています。 最近は外食をしない人が増えており 、代わりに注文配達が増加しているそうです。

日本でも注目されているリモートワークやテレワーク(在宅勤務)ですが、韓国でも在宅勤務ができる職種に関しては、在宅勤務の措置が取られています。

知り合いが3月に予定していた結婚式を9月に延期したり、私たちも3月に日本への一時帰国を予定していましたが延期することにしたりと様々な支障が出ています。

また私は、コロナウイルスの情報を得るためにテレビニュースよりもサイトを活用しています。
感染者情報が分かるサイト「コロナ19リアルタイム状況版」(https://wuhanvirus.kr/)はこまめにアップデートされますし、コロナマップ(https://coronamap.site/)をはじめ、政府のツイッター(保健福祉部、疾病管理本部など)、市のインスタグラムなども情報が最新で細かく公開されているからです。

患者の動線を見ると 「今ここに行くのは避けて、別のルートで行こう」などと予防もしやすく、日々のコロナ対策チェックに役立っています。また、「コロナ19リアルタイム状況版」を見ると、韓国の状況だけでなく世界の状況、韓国内地域別状況、韓国人旅行客が入国禁止を受けた国リスト、グラフ、性別・世代別による比較データー、感染者の動線、地域検索、世界のニュース等まとめられています。

以下は、携帯電話に速報で入った緊急情報です。



携帯電話に届いた新型コロナウイルスに関する情報のお知らせ=携帯電話の画面キャプチャー


緊急アラームとともに居住市からのお知らせが届きます。
瞬間ビックリしますが、必ず確認することになるので、重要な情報は逐一入ってきています。

一部訳すと「3月3日、追加の感染者なし。発熱や呼吸器症状(咳、のどの痛みなど)時、選別診療所訪問、保健所に連絡願います」とあります。

また、「〇月〇日、感染者NO.○○が〇〇皮膚科を訪問しました。接触者を探しています。こちらを訪問した人は保健所に連絡願います」というようなものもあり、徹底した管理・追跡がされていると感じます。

一番怖いのは自分も知らないうちに拡散してしまっていたということだと思うので、このように「もしかしたら感染者と接触したかもしれない、自分が感染しているかもしれない」と疑うことで、少しでも拡大を抑えることができると思います。

また、役所のホームぺージやインスタグラム、フェイスブックなどにも新型コロナウイルスに関する情報が掲載されます。例えば、「感染者と接触した20人に関しては現在検査中で、結果が出次第報告します」、「全員陰性でした」などと細かく情報が共有されるので抜けなく情報が届いていると感じます。

●日本ではどうなのか?

学校が休校になったり、ディズニーランド・USJが休園したり、人が集まるイベントが中止になっているとも聞いています。

また、スーパーでは突然紙類(トイレットペーパーやティッシュ、生理用品など)の買占めが起こっているとも聞きました。

マスクは品薄、薬局でも値上がりしており、中古サイトで高額取引されているのを発見しました。

韓国も同じで値上がりしていますが、2月26日から政府がマスクの販売において措置を取ることになりました。(現在日本でもマスクの転売規制を検討中とのこと。)

●韓国政府の対処についてどう感じているか

感染者数は日に日に増えており、 努力が見えるものの対策に問題点がありそうなのは事実で、私たちは不安な日々を過ごしています。しかし対応が早く、情報に透明性がある点においては安心しています。

マスクの販売介入においてもそうですし、市民が混乱しないように先手を打っていると感じます。
また保健用マスク・消毒液の転売などの行為に対する申告センターを運営するなどの対策を取ることにより必要な人に正当な価格で渡ると考えられます。

また、 日本では検査をしたくでもできないという状況があると聞きましたが、韓国ではそのようなことはなく、不法滞在の外国人に対しても負担なく検査を受けられるようにしているそうで、臨機応変に対応し本気で国内感染を食い止めようと努力しているのが見えます。

他にも、中小企業や自営業者に対しても金融支援をするなどの対策を取っており、今回の対策においては必要なところに目に見える形で税金が使われていると感じます。

数字を見ると韓国は現在、とても苦しい状況にあるのが事実です。しかし、韓国政府は国民を守ろうと最大限対応しているのが見えるのと、多くの国民が不必要な外出を控えたりマスクを着用したり最低限の予防はもちろん、企業、芸能人の間で寄付の輪が広がっており、社会全体でこの危機を乗り越えているような気がして心温かくもなります。

今自分にできることは何かを考え、基本である体づくり、健康的な食事、うがいや手洗い、必要最低限の外出、睡眠時間の確保、免疫を高める生活、感染予防など最大限努力したいと思います。

この事態が1日でも早く収束することを望んでいます。


*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。


km137426@korea.kr