名誉記者団

2022.09.20

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[東京=本村沙也(日本)]
[写真=ENA Instagram]

今年の6月からNetflixで配信が始まり、未だに日本のTVランキング1位を記録する韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。韓国では最高視聴率18%を記録したほか、35の国と地域でトップ10入りも果たしています。


一体何がこんなにも人の心を掴むのか、その魅力を紹介したいと思います。



「私の名前はウ・ヨンウ。逆から読んでもウ・ヨンウ。 キツツキ トマト スイス 子猫 南」


主人公は、ソウル大学の法学部を首席で卒業した天才新米弁護士のウ・ヨンウ。上の文章が、彼女のお決まりの自己紹介です。


IQ164という頭脳と、一度見たことは絶対に忘れないという驚異的な記憶力を持ちますが、自閉スペクトラム障害という発達障害を抱えています。

この障害は、神経発達障害の一種で、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられたり、限定的な行動または反復行動がみられる病気です。そのため、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手です。

そんな、人との関わりが少し苦手なヨンウが新米弁護士として、法律事務所に訪れる人の依頼を解決していくという物語です。



見どころ1 ドラマ全体に流れるほんわかした雰囲気


自閉スペクトラム障害、弁護士ドラマ、と聞いて浮かぶイメージとは裏腹に、ドラマ内にはほんわかしたユニークな雰囲気が流れています。


ヨンウの一生懸命なかわいらしい動作のせいもありますが、クジラ好きのヨンウの説明に合わせて動くアニメーションや、何か閃いたときに差し込まれるクジラの跳躍の映像、オープニングやエンディングのイラスト(エピソードごとに印象的な場面が描かれます)など、視覚的に面白い仕掛けが、このドラマの雰囲気を柔らかくしています。


また、ヨンウの少し変わった言動に、戸惑いながら関わっていく同僚や上司たちの様子もコミカルで面白いです。



見どころ2 依頼に隠された社会問題


依頼人は様々な問題を抱えて事務所を訪れますが、依頼される内容には、韓国が抱える様々な社会問題が隠されています。夫への傷害事件を扱う第1話では、夫婦間の立場の差、ホテルへ慰謝料を請求する第2話では、宗教観や、親から子への支配、同性愛への偏見、などです。


韓国以外の国でも無視できないようなテーマが扱われていて、1話ごとに深く考えさせられます。



見どころ3 ウ・ヨンウの恋愛模様 


回転扉に入れないヨンウにアドバイスしたことがきっかけで知り合った、訴訟チームスタッフのイ・ジュノ。彼は弁護士としてのヨンウを支えながら、段々とその魅力に惹かれていきます。 


ただ、二人で歩いているところを見た後輩がジュノに、「ボランティア活動ですね。」と声をかけるなど、健常者と障がい者としての二人の恋愛は順調にはいきません。社会の目や現実に悩みながらも、ゆっくりと進んでいく恋愛が素敵です。



見どころ4 ウ・ヨンウに関わる個性豊かな仲間の魅力


ヨンウの上司であるチャン・ミョンソクは、仕事ができて部下思いで話しやすい、まさに理想の上司といえる人物です。最初は障害のある人物を雇うことに懸念を示していましたが、ヨンウの仕事ぶりを見てからは、すぐに自分の過ちを認め、謝罪します。
演じるカン・ギヨンはアドリブが多いらしく、度々繰り出されるコミカルな言い回しにも笑ってしまいます。

ヨンウを学生時代から知る同僚のチェ・スヨンは、ヨンウの天才的な能力に嫉妬しながらも、ヨンウに向けられた差別には誰よりも怒りを表してくれる、心の温かい人物です。
ヨンウもそんな彼女のことを、「春の日差しみたい」と表しています。

ヨンウの高校時代からの親友であるトン・グラミは、破天荒な楽しい人物です。
独特な動きをしながら交わされる二人だけの挨拶「ウ to the ヨン to the ウ!」「トン to the グ to theラミ!」は、韓国のアイドルが真似をしたことがきっかけでTikTokなどで拡散し、「やってみた」動画もたくさん投稿されました。



ウ・ヨンウの目を通して見える、おかしな社会


ヨンウの父に、「ウェディングドレスを着てみたいと思うか?」と聞かれたヨンウは、「お父さんは着てみたいですか?」と返します。たしかに。お父さんももしかしたらウェディングドレスを着たいかもしれないですよね。
社会が「そういうもの」として扱ってきたものに対して、ヨンウは純粋に疑問を抱きます。

筆者も、このドラマを見ていて、自分もおかしな見方をしてしまっていたかもしれないと思いました。ある時は弱者になり、ある時は強者になっていたかもしれません。
そんな時、ヨンウの周りにいる人達は、自分との差に戸惑い、驚き、時に呆れながらも、その問題をシリアスに扱うのではなく、ただ一緒に仕事をしてただ一緒にご飯を食べて、話しをして、笑いあいます。

ヨンウのユニークな才能はそのままの形で、思いやりを持ちます。
その様子が、これからの多様化社会の温かい未来を表しているようで、とても素敵に感じました。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、その人気が表しているとおり、深刻になりがちな問題への解決を、柔らかくユニークに伝えてくれる作品でした。

早くもシーズン2の制作予定もささやかれているようですので、気になった方は一度見てみてはいかがですか?


*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr