道路の中央に設置されているバス専用レーン
【文・写真=田中智】
知らない間に韓国の路線バスは大きな変化を見せています。
バス専用レーンが次々作られるばかりでなく、未来型のバス停『スマート・シェルター』も誕生、日本の路線バス以上の発展を遂げています。
移動手段が地下鉄のみじゃもったいない、時間の限られた旅行者には便利になった路線バスをオススメします。「路線がわからない」「渋滞で時間が読めない」なんていって敬遠していた路線バスを見直すときが来たのかもしれません。
韓国各都市ではBRT(Bus Rapid Transit)システムを導入、12月28日、釜山では東西南北を結ぶバス専用路が完成をみました。
「BRT」とは慢性的な混雑がある都市中心部において「バス専用道路」を設けることで公共交通機関の利便性をあげようというプラン。
車道中央部分にバス専用のレーン(車道)を設け、バス停も車道中央部に集中させることでバス停での滞りを解消、
朝夕のラッシュ、渋滞の影響をなるべく受けないようにする、というのが「BRT」の試みです。
コロナ禍で久しぶりに訪れた韓国各地の車道や横断歩道の配置が変わっていることに驚いた人も多いと思います。
案内板や到着時間などバス停と思えないほど多彩な情報が
この試みに合わせるようにソウル市内では『スマート・シェルター』と呼ばれる最先端のバス停が主要スポットに配備されることなりました。
この未来型バス停は天井に「空気清浄機」や「空気測定器」「大気汚染情報提供システム」などが備わり、
「冷暖房設備」や「ヒーター付きベンチ」で暑さや寒さからひと時の憩いを得られる東屋のような場所に。
また「コンセント」や「USB」、「ワイヤレス充電」に「無料Wi-Fi」といったスマートフォンの味方どころか、
非常用に「防犯カメラ」や「非常ベル」「AED(自動体外式除細動器)」が備わり、深夜利用や女性の強い味方にもなってくれています。
韓国の伝統家屋・韓屋をイメージした大きな屋根にはソーラーパネルが設置され、案内板などのLEDに電源供給しています。
この案内板は外国語表記にすることもでき、未来型バス停であると同時に韓国語に不慣れな外国人旅行者の味方にもなってくれるんです。
体温測定しないとドアが開かないシステム
ソウル市内のバス停はこの『スマート・シェルター』以外にも「ヒーター付きベンチ」や「ワイヤレス充電」が備わったものや、
「待合所」のような外気を遮断したタイプのバス停も配備されています。
『オルペミ(深夜)バス』を待つビジネスマンやスマホの充電が切れた学生さんを助けてくれる場所でもあるんですね。
もっぱら地下鉄しか利用していなかった方、変わりつつある韓国の路線バスにトライしてみてはいかがでしょうか。
ワイヤレス、USB以外にもコンセントまで
☀ 路線バスをオススメする理由
【地下鉄よりもラク】
韓国の地下鉄は階段が多いのですがバリアフリーがあまり行き届いておらず、足に不安を覚える人はちょっと大変です。
(主要駅はエスカレーターも多いが、それ以外は階段利用を強いられる)
また路線乗り換えは入り組んでいて、かなりの距離を歩かされたりします。
(鍾路3街など一駅分ぐらい歩かされたりしてしまいます)
その点、バスは最寄りのポイントで降りることができるのでラクチン、ホテルに近いバス停とそこに止まるバス番号はメモしておきましょう。
【車内無料Wi-Fi】
釜山市内のバスは数年前に完備されていましたが、ソウル市内のバスも追いかけるようにほぼ完備されました。
データ量や料金が心配な旅行者の助けになってくれます。
(韓国の地下鉄は無料Wi-Fiが配備されていません)
【車内アナウンスは英語あり】
近年、韓国語と英語のアナウンスがかならず入るようになったので、停留所もわかりやすくなりました。
(主要スポットであれば日本語アナウンスが入ることもあります)
【アプリを使えば不安なし】
番号表示しかない路線バスに不安を覚えるかもしれませんが、
NAVERマップやKAKAOマップなどの乗り換えアプリで路線を調べれば不安はありません。
バス停がわからなくても、無料Wi-Fiを使いながら、地図上で追いかけ、好きな場所で降りればOKです。
【乗り換えが安い】
地下鉄+バス
地下鉄+バス+バス
バス+バス
以上の組み合わせの乗り継ぎはT-moneyカード利用であれば、
下車後30分間(21時から7時までは1時間有効)は「乗り継ぎ扱い」で基本的に無料。
(距離により、加算の場合アリ)
なので地下鉄を降りたあと、ホテルまでのバス停1つの距離も歩かず、移動できたりします。
=無理に駅に近いホテルを確保しなくてもラクな移動ができますね。
<追加情報>
2015年6月の値上げで地下鉄1250ウォン、バス1200ウォン(カード)となり、現在に至りますが、
2023年4月末、8年ぶりの値上げの方向に。
Bon Voyage en Coree !
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
km137426@korea.kr