キム・ヒョンジョンの『祈り』。うさぎ人形のララ(lala)は作家自身の内面を表している
女優画家のキム・ヒョンジョンが2年ぶりに絵画展を開く。9月28日から10月4日まで「ギャラリー1898招待展示:『贈り物-女優画家キム・ヒョンジョン個展』」のタイトルで開催される今回の展示会では、絵画19点、彫刻1点が公開される。中でも『コルカタの虹』『虹のララ』『虹旅行』『虹夢』は全て双層画法で仕上げた作品で、チャ・ドンヨプ神父の『希望をもたらす虹』に深く感銘を受け、それを独自の絵画的言語で表現したものだ。
『St.マザー・テレサ』
特に『祈り』と『St.マザー・テレサ』はキム氏がカトリック信者として経験した霊的な体験を絵にしたもの。キム・ヒョンジョンの「ララシリーズ」「虹シリーズ」は電子製品に囲まれている我々の住居空間、特に子供たちの生活空間にハッピーなエネルギーを満たしてくれるに違いない。
『コルカタの虹』
『虹のララ』
『虹旅行』
『虹夢』
今回個展を明洞(ミョンドン)で開いた理由について聞くと「中国人、日本人とコミュニケーションしたい」と彼女は言う。異例の暑さが続いたこの夏、アトリエにこもりきり作業に専念したため、首に異常が生じるほどだったそうだ。丹精込めて完成させた作品がもうじき自分を離れると思うと虚しさがこみ上げてくるという。
キム・ヒョンジョンは東西美術史の知識をもとに、独自の新たな芸術世界を作り上げた。画家自身のインナーチャイルド「ララ」と精神的コミュニケーションを図ることで得た心理的な癒やしと微妙な情緒を伝統的な画法を用いて描いた。
彼女の絵画に登場するララは絵画の背景としての小物、あるいは一時的な感情を表現した人形ではない。西洋のうさぎ人形の形をしているララは、画家自身が心理相談教育と心理カウンセリングを受ける過程で発見したインナーチャイルドである。
キム・ヒョンジョンは伝統画法にこだわることなく、自身と今の時代にふさわしくそれを発展させた。彼女が考案した「双層画法」はまず伝統韓紙に絵を描き、上から絹の布を貼り付けて完成させるというもの。これは、絹の布を用いたこれまでの伝統画法とはまったく違った概念の絵画で、伝統画法の格をさらに1段階高くしたと評価される。
インナーチャイルド・ララは、キム・ヒョンジョンにとって特別な贈り物だ。ララを見つけてからは、何気なく見ていた世界の素朴な物事をインナーチャイルドの視線から新しく、そして楽しく受け止めるようになった。キム・ヒョンジョンの絵からはインナーチャイルドと共に癒され成長する今の時代の若い女性たちの微妙な情緒とポジティブなエネルギーが感じられる。
キム・ヒョンジョンは1999年、モデル兼女優としてデビューして以来2009年までドラマ、映画、演劇で活躍した。女優業の傍ら美術史、美術理論、美術品鑑定学などを学んだ。2009年からは芸能活動を休止。教育課程の「カトリックカウンセリングボランティア課程」で1年以上にわたる心理カウンセリングを受け、人形治療法により自身のインナーチャイルド「ララ」に出会った。
2012年と2013年には世界日報に毎週絵と創作エッセイが融合された『女優画家キム・ヒョンジョンの絵画トーク』を連載。2014年1月には、自身の絵とエッセイを織り交ぜた『ララのお出かけ-インナーチャイルドで自分探し』を出版した。
キム・ヒョンジョン画家はインナーチャイルドララのお陰で人生の転機を迎えたと語る
2014年2月、キム・ヒョンジョンは李曰鐘(イ・ウァルジョン)、金敬烈(キム・ギョンリョル)画伯と共に世界日報創刊25周年記念の特別展『三人行』に参加したほか、6月にはソウルギャラリリーアートリンクに招かれ『描写と演技:キム・ヒョンジョン個展』を開いた。さらに同年11月に北京今日美術館からの招待で故ナム・ジュン・パイク(白南準、ペク・ナムジュン)、李曰鐘画伯と共に『一から三へ(一分爲三):韓国芸術家3人展』に参加した。2016年3月の北京在中韓国文化院と、8月の坡州(パジュ)民族和解センターの平和巡礼者ギャラリー招待展『書道無門:2016年韓中処方芸術交流展』に参加した。キム・ヒョンジョンの作品は現在大田(テジョン)カトリック大学、戦争と女性人権博物館、世界日報、LS算電、KCグリーンホールディングスが所蔵している。
今回の展示は「ギャラリー1898」(明洞聖堂地下1階、旧平和画廊)で開かれ、28日午後6時の開幕式では奚琴(ヘグム)演奏家チョ・ウンジュさんの独奏会が行われる。また、ブックコンサートは10月1日午後2時、インターパーク明洞ブックパークで開かれる予定。
コリアネット ウィ・テックァン記者
翻訳:イ・スミン
whan23@korea.kr