独立紀念館に独立宣言書を寄贈した佐藤正夫さん=キム・ウニョン撮影
[ソウル=キム・ウニョン]
日本のある歴史教師が3代にわたって保管してきた独立宣言書を韓国に寄贈した。日本が韓半島を支配したことに後ろめたさを感じた祖父と父、そして自分の気持ちを伝えたかったからだ。
独立宣言書は、日本による植民地支配から解放を求め、1919年に韓半島で起きた独立運動「3・1運動」の際に、約2万1千枚が配布された。大きさは、縦22.5センチ、横46.5センチ。その1枚が長崎県に住んでいる佐藤正夫さん(67)の手元にあった。これで、現存する独立宣言書は計9枚。韓日、両国にとって貴重な資料だ。
佐藤さんは、忠清南道(チュンチョンナムド)の天安(チョンアン)にある独立紀念館で行われた寄贈式に参加するため韓国を訪問した。100年が経って色あせてしまった独立宣言書が韓半島に戻ってきた事情について聞いてみた。
-独立宣言書を手に入れた経緯は。 独立運動当時、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で陶器商を営んでいた祖父が手に入れたものだ。父が祖父の遺品から見つけて保管してきた。父は1984年に出版した回想記で独立宣言書に触れ、その時、初めて独立宣言書の存在を知った。
-韓国に寄贈する理由は。日本が韓半島を支配したことに後ろめたさを感じたからだ。平壌で暮らした祖父と父もそのことをすまないと感じただろう。寄贈をすると決めたら、数多くの韓国人が感謝の言葉を送ってくれた。祖父と父の思いが通じたと思った。
-どうして韓国の独立紀念館に寄贈するのか。 独立宣言書が研究対象として扱われるだけでなく、もっと価値あるものだとわかってほしかった。韓国の独立紀念館に寄贈すれば、多くの人々に宣言書の意味を正しく理解してもらえると思った。物は本来あった所にあるべきではないか。
-初めての海外だと聞いた。自身にとってはどんな意味を持つのか。 韓日の外交関係が悪化しつつある。しかし、100年にわたり韓半島に愛情を持っている日本人もいることを覚えていてほしい。このような民間交流が行われ、韓日の外交関係の改善に役立てればと思う。
佐藤正夫さんが独立紀念館に寄贈した独立宣言書=独立紀念館
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