[ソウル=ソ・エヨン、キム・ウニョン]
[映像=キム・シュンジュ]
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界無形遺産に認定されている韓国の伝統芸能「パンソリ」。
歌い手と鼓手が一対となって物語を数時間にかけて歌い紡いでいく。その魅力に取りつかれて「パンソリ」を研究しているドイツ出身のアンナ・イェーツさん。
英国のロンドン大学・大学院でパンソリに魅せられ、専攻(前専攻は政治学)まで変えた。博士論文のテーマは「今日のパンソリ:現代社会で伝統と創造性を融合」。昨年9月、31歳で韓国のソウル大学校の国楽科の准教授(助教授)になった。最年少の外国人教授だという。大学では、固有の文化に属する音楽を研究する学問「音楽民俗学」(Ethnomusicology)を教えながら、「パンソリ」公演も行っている。
その彼女が「パンソリ」を世界に発信したいと思ったきっかけについて、流暢な韓国語で話してくれた。
彼女は「人類学」という観点で音楽を研究している。また、韓国伝統音楽の保全及び振興をはじめ、国楽人、韓国の伝統衣装、ソーシャルネットワークサービスの活用方法など幅広い研究に取り組んでいる。
エリゼ宮殿で開かれた韓国とフランス大統領の夕食会に招待されたアンナ・イェーツさん(左)とロー・マフォーさん=2018年、フランス・パリ、青瓦台フェイスブック
彼女がパンソリを世界に発信したいと考えたのは、来韓した2015年の時だった。舞台芸術研究データを集めるため、公演場を訪問した。当時、彼女はパンソリを教えてくれる歌い手を探していたが、そこで「興夫歌(フンボガ)」の歌い手として知られている「ミン・へソン」さんに出会ったのだ。
ミンさんは、アンナさんのお願いを喜んで受け入れ、その場で「興夫歌」を歌い始めた。
彼女はとても運がよかったという。ミンさんからはパンソリだけでなく、研究者として研究者のあるべき姿まで教えてもらった。
彼女は、同年フランスで開かれたパンソリ欧州地域大会「K_VOX Festival」に参加し、優勝した。2018年には、フランス・パリで開かれた韓国とフランス大統領の夕食会にフランス出身の歌い手ロー・マフォーさんと招待され、公演を行ったこともある。
ドイツ出身のアンナ・イェーツさん=本人提供