ひと

2024.06.14

文化体育観光部は、海外の主要人物を招待する「K-フェローシップ(K-Fellowship)」というプログラムを2009年から運営している。文化芸術分野における国際交流を活性化するためのプログラムで、今年で16回目を迎える。これまで、世界各国の文化芸術機関に携わる指導者級の人物を韓国に200人以上招待した。韓国の機関や団体のみならず、専門家らとも交流し、協業してきた。今年は、在外韓国文化院が推薦した15カ国・15人が順に韓国を訪れる。テュルキエに続き、アフリカ地域の公演や美術分野に詳しいエジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長が2番目に訪韓した。

[エスラ・モハンマッド] 
[写真=文化体育観光部]


文化体育観光部が運営する「Kーフェローシップ事業」として、エジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長が先月27日、6泊7日の日程で訪韓した。写真は、韓国の伝統韓屋で記念撮影をするラミア館長。

文化体育観光部が運営する「Kーフェローシップ事業」として、エジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長が先月27日、6泊7日の日程で訪韓した。写真は、韓国の伝統韓屋で記念撮影をするラミア館長。


「両国の公演団の交流を活性化させて、あの時の感動を後輩たちに伝えたい」

エジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長が先月27日、6泊7日の日程で韓国を訪問した。彼女は24年前、ソリスト・バレリーナとして韓国の舞台に上がったことがある。今回は、エジプト全域のオペラハウスを管理する国立オペラハウスの館長として訪韓した。

韓国に滞在したことのあるラミア館長は、国立中央博物館をはじめ、国立国楽院、芸術の殿堂、国立オペラ団、国立バレエ団、ユニバーサルバレエ団など、韓国の主な文化芸術機関を巡回し、忙しい日々を送った。目が回るほどの忙しさにもかかわらず、たくさんのK-文化を体験したという。大統領府では韓国の大統領の歴史を、北村韓屋(ハノク)村では韓国の建築を、世界文化遺産である宣政陵(ソンジョンヌン)では韓国の文化遺産などを勉強したそうだ。

今回の訪韓の目標を聞くと、「韓国とエジプトの文化芸術における交流の活性化」と即答した。来年、韓国とエジプトは国交正常化30周年を迎える。それに向けて、お互いの文化や芸術について理解を深めたいという気持ちだそうだ。

彼女は「オペラ、バレエ、音楽に関する文化芸術機関の関係者との面談で、目標を達成することができてうれしい」と答えた。情熱あふれる率直な性格の彼女は、インタビューが間中、ウキウキした様子だった。

ラミア館長は国立バレエ団の関係者との面談で、来年、ガラショーや短いバレエ公演のためのダンサー交換プログラムについて具体的に議論した。国立バレエ団の練習現場も訪れ、韓国のバレエ団員たちが練習する様子も見学した。彼女は、世界28カ国でバレエ公演をし、エジプト高等バレエ院長を務めた。自身が積み上げた実力や経験、知識を韓国のバレリーナたちと分かち合い、交流プログラムについて考えていた。

国立バレエ団を訪れ、団員たちが練習する様子を見学するエジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長(左)=先月30日、ソウル瑞草区

国立バレエ団を訪れ、団員たちが練習する様子を見学するエジプト国立オペラハウスのラミア・ザイード館長(左)=先月30日、ソウル瑞草区


国立オペラ団を訪問した彼女は、エジプトで合同公演をしてみないかという意見に賛成した。両国の文化芸術に関連して、新しい交流事業を行ってみようとも話した。

彼女は、ユニバーサルバレエ団でも情熱的だった。韓国の創作バレエ、「春香(チュンヒャン)」をエジプトの舞台で披露することを、バレエ団の関係者たちと共に考えた。ユニバーサルバレエ団の団長がバレリーナ出身のため、互いに通じる点が多かったようだ。海外公演の際に、団員みんなが参加すれば、財政負担が大きいという問題があった。「キャストを60~70%縮小する」という方向性を検討した。公演企画や運営に関する洞察力や経験、実用的なアプローチがうかがえる。

エジプト国立オペラハウスは文化部の所属機関であるだけに、クラシックやバレエなどの現代音楽だけでなく、伝統音楽も重要なジャンルだと考える。エジプト国立オペラハウスが今年下半期に国立国楽院の公演団を招請する事業を進める理由でもある。駐エジプト韓国文化院の事業への協力も決まった。伝統音楽を通して、お互いの文化についての理解を深めることができるため、国立国楽院の訪問に大きな期待を寄せている。

韓国からエジプト国立オペラハウスに持って行きたいと思うものがあるか聞いてみた。彼女は、目を輝かせながら「国立中央博物館を訪問した時、過去の遺産、遺物、歴史が現代と未来の先端技術とうまく調和しているのがとても印象的だった」と答えた。また「エジプト国立オペラハウスの博物館にも、韓国に関する展示企画や先端技術などを取り入れて、観覧客がオペラハウスの歴史に対する理解を深められるようにしたい」と付け加えた。

彼女は「韓国の若者たちの文化や服装を見て、西洋のドラマや映画から影響を受けていることが感じられた」と話した。彼女は、2000年に初めて韓国を訪問した時の印象をよく覚えていた。「だが、今回の訪問では、道を歩くだけでも韓国のアイデンティティが明確に見えて良かった」と話した。彼女は韓国が成し遂げた成長をしっかりととらえていた。

ラミア館長は「韓国の自然や人々の姿だけでなく、早朝の空気まで、韓国で過ごした日々の全てが記憶に残っている」と話した。彼女は急いで次のスケジュールに向かいながら、こう言った。

「また来ます!」

国立中央博物館で、韓国の伝統文様を見るエジプトのラミア・ザイード国立オペラハウス館長(左から2番目)=先月28日、ソウル・龍山区

国立中央博物館で、韓国の伝統文様を見るエジプトのラミア・ザイード国立オペラハウス館長(左から2番目)=先月28日、ソウル・龍山区


ess8@korea.kr