韓国科学技術研究院(KIST)と高麗大学の研究チームは、遺伝子を組み換えたバクテリアを利用し、微細藻類からプラスチックの原料であるスクシン酸(Succinic acid)を生産する技術を世界で初めて開発した。
今回開発されたバクテリアは、微細藻類内の澱粉を分解できるアミラーゼ酵素を直接生産し、糖化酵素を加えなくても効率の高いスクシン酸を生産することができる。スクシン酸は、追加の化学反応を通じ、プラスチックやコーティング素材、ウレタン、ソルベントといった原料として使用される物質だ。
微細藻類は、二酸化炭素を食べて生きる微生物で、光と二酸化炭素だけを利用して大量に培養することができる。これまでスクシン酸の生産に活用されてきた木質系バイオマスは、化学構造が複雑なため、予備過程で起こる化学的・物理的反応が難しく、澱粉や多糖類が分解されて糖がつくられる過程が複雑であるという限界があった。
高濃度の二酸化炭素を培養し、クラミドモナス菌株と澱粉を含む炭水化物を細胞内に蓄積してスクシン酸を生産する過程
今回の研究に使用されたバクテリアは、バイオ化学や食品などの産業でアミノ酸やヘキサンなどの生産に実際に活用されているコリネバクテリウム・グルタミクム菌株(Corynebacterium glutamicum)を改良したもので、既存の事業への適用や事業化が容易にできると見られる。コリネバクテリウム・グルタミクム菌株は、家畜の飼料や食糧添加物として使用されるバイオアミノ酸を生産する微生物だ。
今回の研究は、未来創造科学省の「韓国二酸化炭素捕集及び処理2020事業」の一環として実施され、地球温暖化を引き起こす原因である二酸化炭素を活用し、バイオプラスチック製品を生産できる道を切り開いたことに意義がある。研究結果は、7月24日に科学雑誌「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・レポート」の電子版に掲載された。
KISTの関係者は、「今回の研究を通じ、持続可能な次世代のバイオマスである微細藻類を活用して多様な化学製品を生産する技術を開発した」と話している。
バクテリアを利用して微細藻類からプラスチックの原料であるスクシン酸(Succinic acid)を生産できるという研究結果が、7月24日に「ネイチャー」の姉妹紙「サイエンティフィック・レポート」の電子版に掲載された
コリアネット イム・ジェオン記者
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