社会

2015.06.16

チェジュ(済州)島ハムドク(咸徳)海域の区画漁場で野生適応訓練を受けているミナミハンドウイルカ(Indo-Pacific bottlenose dolphin)の「テサニ」(オス)と「ポクスニ」(メス)が間もなく自然に帰る。

2009年に済州島の沖合いで違法に捕獲されたテサニとポクスニは、某公演業者に買い取られ、イルカショーに動員される。そして、2013年に最高裁判所がその公演業者に没収を宣告し、2頭のイルカは解放されたが、先天的な奇形に加え、深刻なうつ症状まで患い、自然放流に失敗した。その後、ソウル大公園で飼育されていた2頭のイルカは、市民の募金活動や嘆願などにより、自然に帰されることが決まった。

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済州島咸德海域の区画漁場で海に慣れ、野生に適応しつつあるテサニとポクスニ



テサニとポクスニは、野生適応訓練を受けるために、5月14日に済州島行きの飛行機に乗せられ、咸徳海域の区画漁場に移送された。来たばかりの頃は、網に引っかかった魚しか食べないなど元気がなかったうえ、流産もした。しかし、担当飼育員と獣医師の心のこもった世話のおかげで健康を取り戻し、捕獲能力も向上した。周りに集まってきた野性のイルカの群れと共感もした。

チェドリもやって来た。2009年にテサニ、ポクスニとともに違法捕獲され、イルカショーに動員されたチェドリは、2013年に放流されて自然に帰った仲間だ。

6月6日、チェドリを含め約30頭のイルカがテサニとポクスニのいる区画漁場の周りにやって来て、力強く飛び跳ねるなど、互いに共感する姿が目撃された。

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テサニとポクスニが野生適応訓練を受けている済州島咸德海域の区画漁場は、チョンジュ港から約200メートルの場所にある。人間の干渉が少なく、自然そのままの状態で過ごせる構造になっている

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テサニとポクスニが野生適応訓練を受けている済州島咸德海域の区画漁場の周りにやって来た野性のイルカたち



海洋水産省のある関係者は、「テサニとポクスニが早期に自然に適応できたのは、訓練環境が自然に近い状態だからだ。訓練経過を踏まえて決定するが、今の状態なら早ければ7月初旬に放流できると思う」と話す。

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2013年7月18日に自然放流されたチェドリが力強く泳いでいる



記事:コリアネット ソン・ジエ記者
写真提供:海洋水産省、ソウル市
jiae5853@korea.kr