産業遺産情報センター=聯合ニュース
[キム・ウニョン]
「軍艦島」と知られている長崎市の端島炭坑など23の資産で構成される「明治日本の産業革命遺産」は、2015年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された。
当時、世界遺産委員会は歴史全体を理解できるように日本政府に対応を求めた。これを受け、日本政府は昨年、「明治日本の産業革命遺産」の歴史を説明する「産業遺産情報センター」を東京新宿区に設置した。
しかし、ユネスコの世界遺産委員会は、同施設をめぐり、旧韓半島出身労働者らに関する説明が「不十分だ」とし、さらなる説明を求める決議を全会一致で採択した。
これを受け、日本の有識者5人がユネスコの決議を支持し、同施設の展示内容を改善するよう、呼びかけている。彼らに同施設の問題点や改善策について書面で聞いた。
戸塚悦朗弁護士は、韓半島から強制連行された人の被害実態を全く認めていないことを「展示内容の最大の問題点」と訴えた。戦時の加害行為によるヒューマンライツ侵害の上に、更なる二重の加害行為を加えていると指摘した。
在間秀和弁護士は、朝鮮人に対する強制的な労働、差別的な扱い、未払い賃金があったことは「歴史的な事実だ」と強調し、2005年1月19日の広島高等裁判所における判決においても認められていると述べた。端島において「仲良しのコミュニティ」が存在したとは到底考えられないと否定した。
NPO法人岡まさはる記念長崎平和資料館の新海智広副理事長は「朝鮮人だけでなく、中国人および連合軍捕虜についてもきちんと取り上げていない」とし、「幕末から明治期にかけて、日本が近代化を成し遂げたという『日本のサクセス・ストーリー』でしかない」と指摘した。その過程において、日本が犯したアジア諸国への侵略、戦争、植民地化、歴史の意味付けや反省は、全くないと述べた。
日本近現代史研究者、竹内康人さんは「日本による朝鮮の支配・統治を正当化している」とし、これらの認識による産業遺産の構成は「普遍的な平和・人権の価値形成」に合致していないと述べた。
朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動の矢野秀喜事務局長は、日本政府の方針について、人々の中に平和の砦を築き、国を超えて精神的連帯を作り出すことを目指す「ユネスコの精神に反する行為だ」と指摘した。そして、この問題を「日韓問題」として捉えてはいけないと主張した。
在間秀和弁護士も、日本政府は国際社会に対し、二度とこのような悲惨な歴史を繰り返さないと約束したとし、「負の側面」も真摯に展示すべきであると強調した。
日本の有識者5人は、展示内容の改善について「強制連行の歴史全体を理解できるようにする説明戦略を設け、犠牲者を記憶にとどめるための適切な措置をとる」と口をそろえた。
新海副理事長は、旧日本軍による強制連行された被害者の証言を正しく展示すべきであると強調した。
矢野秀喜事務局長は、ドイツのツォルフェライン炭鉱業遺産群などの展示を参考にし、関係者との対話を継続的に行い、その結果を展示内容に反映させていくべきであると提案した。
今回の決議は来年12月1日までに今後の対応を報告するよう、日本側に求めている。ユネスコは2023年に再検討する予定だ。
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