ノートや鉛筆、ボールペン、シャープペンシル、消しゴム、ペンケースなど、韓国の小学生から大学生までのカバンの中には、このブランドの学用品が入っていることが多い。ノートや筆記具だけでなく、上履きやクッション、ぬいぐるみ、キーホルダーなど、生活用品でもよく見かける。そのブランドとは、1987年に無線綴じノートを発売して以来、これまで文具類総合メーカーとして韓国の消費者に支持されてきたモーニング・グローリー(Morning Glory)だ。
モーニング・グローリーは、1987年に無線綴じノートを発売して以来、韓国を代表する文具類総合メーカーとしての地位を確立してきた。写真の「ブルーベア」「スプリングノート」「マッハペン」は、同社を代表する商品の一部だ
英語で「アサガオ」の意のモーニング・グローリーは、1987年に無線綴じノートを発売して韓国の文房具市場に参入した。当時の韓国は、白紙に横線が引かれただけのノートがほとんどで、このノートは、1ページ破ると反対側のページもとれてしまうという不便さがあった。同社が発売したノートは、そうした問題点が改善された。従来のノートの表紙は風景写真が中心だったが、同社のノートの表紙は、ブルーベアやピンクベア、バブ、ミニ、カミなど、様々なキャラクターのイメージや童話のイラストといったデザイン的要素が目を引いた。また、書き心地を滑らかにするとともに目に優しいクリーム色の紙を開発したほか、視力を守る緑の内紙「アイ・ソフトゾーン(eye soft zone)」など科学的機能を取り入れたノートを発売した。同社の無線綴じノートは爆発的にヒットし、この約20年間で7億冊以上販売された。
モーニング・グローリーのロゴ.
モーニング・グローリーは、スプリングノートも従来のワンリング方式からダブルリング方式に改善した。また、文字を書くときに手に引っかかるスプリングを一部なくすとともに、裏ページの書きにくさを解消した「SPノート」も好評を得た。
モーニング・グローリーの製品は、新学期が始まるたびに子どもたちが購入する文具ブランドとして定着した。同社は、ノートの他にも、手帳やデザイン便箋、ボールペンといった筆記具や生活用品の分野にも少しずつ事業の幅を広げていった。同社が2009年に発売した「マッハ(Mach)ペン」は、これまで1500万本以上販売された。この製品は、滑らかな書き心地と鮮明な色感、そして長く使える耐久性が消費者から高く評価されている。
モーニング・グローリーは、消費者のニーズに応えることを常に優先してきた。小学生から大学生まで各年代の消費者の趣向を分析しようと、社員自ら学校に出向いて多くの人から意見を聞いた。こうした製品開発・研究の努力は結果として実を結んだ。同社は、韓国能率協会主催の「2014韓国産業ブランドパワー(K-BPI)」の総合文具部門で14年連続1位の座を守った。
モーニング・グローリーが2009年に発売した「マッハペン」は、累積販売が1500万本を超えた。滑らかな書き心地と長く使える耐久性が高く評価されている
海外に輸出されているモーニング・グローリーのノート製品
モーニング・グローリーは、文具や事務用品の他にも、傘やコップ、靴下、クッション、毛布、ぬいぐるみ、カバン、上履きなど、様々な生活用品を販売している
海外でもモーニング・グローリーの商品は人気だ。同社は、1994年に米ロサンゼルスに海外1号店を出して海外進出に乗り出した。現在では、米国やオーストラリア、中国、フランスなど、アジア・欧州地域20カ国の売場で、同社のスプリングノートや無線綴じノート、両面ノートといったノート製品や「マッハペン」といった筆記具など様々な製品を販売している。
特に、1994年に発売されたキャラクター「ブルーベア(Blue Bear)」は、1997年にハワイに設置された店舗で大ヒットした。モーニング・グローリーのデザイン室のチェ・ヨンシク室長は、「ブルーベアが描かれた文具製品と生活用品は、ハワイで品切れになるほど大人気だった」と当時を振り返った。
(右から)今年で20歳になったモーニング・グローリーのキャラクター「ブルーベア」「ピンクベア」「コニベア」は、1994年の発売から人気を維持している
モーニング・グローリーのデザイン室のチェ室長は、「品質とデザインと価格の3つの要素を全て満たすことこそ我が社の目標」という
チェ室長は、モーニング・グローリーが1996年に設立したデザイン研究所の総責任者だ。30人以上のデザイナーがこの研究所で様々な文具製品・事務用品・生活用品を開発している。チェ室長は、「モーニング・グローリーは、創設以来これまで製品の品質だけでなくデザインにも心血を注ぎ、投資を続けてきた。良い品質とデザイン、価格を維持してきたことが、モーニング・グローリーの長い人気の秘訣」と語る。
事務の自動化と輸入筆記具の大幅輸入にもかかわらず、モーニング・グローリーが消費者の変わらない信頼を得ている秘訣について、チェ室長は「たゆまぬ研究開発とデザイン改善への取り組み」と、ノートの製作過程を例に挙げた。新しいノートを1冊作る場合、同社の30人以上のデザイナーが1千種類を超える試案を考え、その中から100以下の試案だけが残る。それから、会社内外の評価や小学生から大学生まで幅広い若者を対象にした市場調査など、数回にわたるテストが実施される。同社の全製品が生産される鳥山工場で最終製本が完成するまで8カ月以上かかる。こうして、一つの製品が誕生するまで徹底した検証が行われているのだ。
チェ室長は、「モーニング・グローリーの製品が輸入筆記具と比較して決して劣らないのは、各年齢別の市場調査と検証を重ね、消費者の趣向とニーズを反映させてきた努力の賜物」と話し、同社の品質とデザインへのプライドを覗かせた。
記事:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
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