「五倫行実図」の書物(上)と現在に伝わる唯一の「五倫行実図」の木版(下)
百済(18 B.C. - A.D. 660)のケロ(蓋鹵)王(?~475)の試しにも節義を守ったトミ(都弥)夫人の物語と絵が精巧かつ鮮明に刻まれている。18世紀末に版画として制作されたこの書物は、孝子、忠臣、烈女の物語が綴られた「五倫行実図」だ。忠や孝など儒教の徳目をテーマに民族を感化させるために、朝鮮の貞祖(在位1776~1800)の時代(1797年)に王命によって編纂された。
6月3日から国立民俗博物館で開かれる特別展「印刷文化の花、古版画」で「五倫行実図」を鑑賞できる。同展示では、カンウォン(江原)道ウォンジュ(原州)市のチアク(雉岳)山に立地するミョンジュ(明珠)寺の古版画博物館の所蔵品約100点が公開される。印刷と絵画という二つの特性を持つ版画の歴史と用途について考察することができる。
主要作品の一つで今回初めて公開されるのは、清の乾隆帝(在位1735~1795)の時代に蘇州で制作された大型の山水版画「夏日題老将林亭図」だ。西洋の遠近法で18世紀の中国の都市風景を描いた作品で、刻まれた版画に色が塗られている。国立民俗博物館の関係者は「この作品は、唐の詩人張蠙の作品を素材にしたものだ。日本の浮世絵に大きな影響を与え、世界に100点も残っていない貴重な作品」と強調する。浮世絵は、原色を強調した色彩やシンプルな構成、輪郭がはっきりとした線などが特徴の江戸時代(17世紀後半~19世紀)の日本の木版画だ。
清の乾隆帝の時代に制作された大型の山水版画「夏日題老将林亭図」。18世紀の中国の都市の風景を描いた作品で、西洋の遠近法と陰陽法、そして銅版画技法を駆使した非常に珍しい版画だ
朝鮮第14代王、宣祖(在位1567~1608)の時代である1572年、忠清北道堤川市の月岳山に立地する徳周寺で刊行された木版画「德周寺版仏説阿弥陀経」
「五倫行実図」の他にも、印刷媒体としての特徴を示す版画として、釈迦牟尼の慈悲を賛美し、極楽世界で生まれ変わることを説く木版画「德周寺版仏説阿弥陀経」などが紹介される。
吉兆の象徴であるカササギと霊験の動物である虎の絵が描かれた「虎鵲図屏風」や「三災(人間に降りかかる3つの災い)のお札など、厄運から逃れて福を願う人間の願いが込められた版画作品も展示される。
同展示は、国立民俗博物館が地域の公・私立博物館の所蔵品をソウルで公開しようと企画した「K-Museum招請特別展」の最初の催しで、7月20日まで開かれる。入場は無料。毎週火曜日は休館。同博物館に関する詳細は、同博物館のホームページをご覧ください。
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20世紀に制作された「虎鵲図屏風」
コリアネット ユン・ソジョン記者
写真提供:国立民俗博物館
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