
朝鮮の監理だったチェ・ブが記録した『漂海録』。済州島に向かう途中で漂流し、中国を経由して朝鮮に帰還するまでの148日間の様子が綴られている
「北京から帰還した教育担当官のチェ・ブ(崔溥、1454~1504)に日記を整理するよう命じた」
ソンジョン(成宗)実録に記された1488年6月14日の記述だ。
チェジュ(済州)島に監理として赴任したチェ・ブは、父親が亡くなったという知らせを聞く。彼は部下42人と故郷のナジュ(羅州)に急いで帰ろうとするが、暴風に巻き込まれて漂流してしまう。チェ・ブ一行は幾多の困難を乗り越え、命からがら中国浙江省寧波にたどり着く。しかし、倭寇と誤認され、再び命の危険にさらされるが、朝鮮の官員であることが明らかになる。その後、杭州と北京を経由し、漂流から148日後に朝鮮に無事に帰還する。
明で見て、聞いて、経験したことを日記に書くよう成宗に命じられたチェ・ブは、紀行文を書く。1492年、成宗は父親の服喪を終えたチェ・ブに会い、漂流当時の詳しい話を聞く。チェ・ブは、当時の切迫した状況と、明の様子や人々の暮らしについて説明した。
チェ・ブは、明の人々について、「江南の人々は皆、大き目の黒い上着とズボンという服装で、女性たちは皆、襟をきちんと整えていました。以南の女性たちの髪飾りは丸くて長く、以北では丸くてとがっていました」と成宗に伝えた。

漂流した朝鮮時代の監理チェ・ブが浙江省にたどり着いてから朝鮮に帰還するまでとどまった杭州から北京までの風景を描いた「京杭道里図」。浙江省博物館が今回の展示のために提供した
チェ・ブの想定外の見聞と記録は、『漂海録』というタイトルで刊行された。国際済州博物館は、「2015~2016韓中観光の年」を記念し、浙江省博物館と共同で展示会「朝鮮の学者チェ・ブ、想定外の中国見聞」を21日から開く。
『漂海録』に記録されたチェ・ブの足跡をたどり、当時の韓中両国の暮らしの様子、文化、関係について知ることのできる同展示では、韓国の遺物約150点と浙江省博物館が所蔵する明の江南及び大運河関連の遺物101点が展示される。
同展示では、コリョ(高麗)大学と日本の東洋文庫が所蔵する『漂海録』の版本が初めて公開される。朝鮮時代の衣装「チョルリク」、杭州から北京へと伸びる大運河と山並み、街の風景を描写した「京杭道里図」、明の時代に使用された机や硯、装身具などが展示される。
詳細は済州国立博物館のホームページをご覧ください。
http://jeju.museum.go.kr
コリアネット イ・スンア記者
写真提供:済州国立博物館
slee27@korea.kr

国立済州博物館は、浙江省博物館と共同で特別展「朝鮮の学者チェ・ブ、想定外の中国見聞」を21日から開く。絵はチェ・ブが記録として残すために当時の中国の大運河を想像して描いたもの