文化

2016.03.14

昨年に中国で公開された映画『あやしい彼女』(左)の中国版リメイク作『20歳よ、もう一度』が、これまでの韓中共同制作映画の中で最高の興行成績を叩き出した

昨年に中国で公開された映画『あやしい彼女』(左)の中国版リメイク作『20歳よ、もう一度』が、これまでの韓中共同制作映画の中で最高の興行成績を叩き出した


若さを取り戻した70歳のおばあさんのどたばたエピソードと家族愛を描いた映画『あやしい彼女(監督・ファン・ドンヒョク)』が韓国を超え、アジア諸国でも人気を博している。

韓国で2014年に公開され865万人もの観客を集めた大ヒット作『あやしい彼女』は、昨年に中国とベトナムでリメイク作が公開され大成功、続いて日本・タイ・インドネシアでの公開も控えている。

原作では主役が身体の変化を認識する場所がチムジルバン(韓国風のサウナ)だったが、中国のリメイク作では公園で広場舞を踊りながら若返りに気付く

原作では主役が身体の変化を認識する場所がチムジルバン(韓国風のサウナ)だったが、中国のリメイク作では公園で広場舞を踊りながら若返りに気付く


その人気の先陣を切ったのは中国だった。韓・中共同制作でレスト・チェン(陳正道)監督が演出した中国版『あやしい彼女』の『20歳よ、もう一度』は、3.65億人民元(約64億円)の興行成績を残した。

『20歳よ、もう一度』は、中国の国民女優グァ・アーレイ(歸亞蕾)がおばあさん役を演じ、原作でシム・ウンギョンが熱演した若返りしたおばあさん役は次世代スター、ヤン・ズーシャン(楊子珊)が務めた。

中国版では原作の「ファンタジー・コメディ」というジャンルは保ちながら、中国人から好まれるロマンスを前面に出した。また中国観客に馴染みやすくするために、公園で広場舞を踊りながら若返りを認識するという原作と違う設定となった。緻密なストーリと役者たちの熱演に加え、70-80年代に中国語圏だけでなく韓国と日本でも最高の人気を博したテレサ・テン(鄧麗君)の名曲が映画音楽として使われ、人気を後押しした。

映画『あやしい彼女』で若さを取り戻したおばあさんが放送局のプロデューサに出会う場面。原作では魚で脅かしたが、ベトナムのリメイク作では大根に変わった

映画『あやしい彼女』で若さを取り戻したおばあさんが放送局のプロデューサに出会う場面。原作では魚で脅かしたが、ベトナムのリメイク作では大根に変わった


中国に続きベトナムでは昨年下半期に『私があなたのおばあさんだ(Em la ba noi cua anh)』のタイトルで公開された。恋物語が中心だった中国とは違って、ベトナムでは家族愛が強調された。祖母と孫の関係がより深く描かれた。また、コメディジャンルが流行っていることを考慮し、脇役にはベトナムのお笑い芸人たちを起用。結果は、ベトナム映画の歴代興行成績1位(外国映画は除く)だった。

昨年、ベトナムで公開された『私があなたのおばあさんだ(2015)』のポスター(左)と、今年4月に公開を控えた原作と同名の日本版ポスター

昨年、ベトナムで公開された『私があなたのおばあさんだ(2015)』のポスター(左)と、今年4月に公開を控えた原作と同名の日本版ポスター


『あやしい彼女』の人気は今年、日本でも続く予定。
4月1日の公開を控えた日本版は水田伸生監督が演出した。原作と同名のタイトルで公開される日本版の最大の特徴は、おばあさんと嫁との葛藤から事件のきっかけになっていた原作とは違って、シングルマザーの娘との葛藤からストーリが始まるとのこと。韓国で『深夜食堂』の栗山みちる役で知られる多部未華子が主役、おばあさん役は日本を代表する演技派女優の一人、倍賞美津子が務めた。

家族愛と共に高齢者問題をコメディで描き、韓国・中国・ベトナムで大ヒットした『あやしい彼女』は、アジア圏の人なら誰でも共感できる内容で、今年は日本に続きタイ、インドネシアでも公開される予定。

コリアネット イ・ハナ記者
翻訳:イム・ユジン
写真:CJ E&M
hlee10@korea.kr