タンピョンチェは清泡ムク(緑豆の寄せもの)と炒めた肉、緑豆もやし、せり、海苔、錦糸卵による5色の鮮やかな彩りと淡白な味が特徴的な料理。
「タンピョンチェ(蕩平菜)」という名前は朝鮮の第21代王の英祖(ヨンジョ、1694~1776)が付けたもので、どちらにも偏らず平等であることを意味する「蕩蕩平平」から由来した。朝鮮時代の党派争いの弊害を身をもって経験した英祖は、対立と政争を解消し政治的な和解を図るために異なる党派同士でも互いに協力し合おうという意味を込め「蕩平策」を実施した。彼は蕩平の意味を強調するために、異なる食材がよく混ざって調和を成す清泡ムク料理を「タンピョンチェ」と名付けた。英祖は主にタンピョンチェなど菜食中心の食事をし、83歳で世を去った朝鮮の最長寿国王である。
タンピョンチェは春に食べる季節料理で、5色の食材と清泡ムクの明るい白色が調和し視覚を楽しませる。滑らかな清泡ムクの主材料となる緑豆は、必須アミノ酸と不飽和脂肪酸が豊富なため消化を助け、身体に溜まった老廃物を解毒する働きがある。

タンピョンチェは色とりどりの食材と清泡ムクの味、視覚の調和が特徴的。英祖は異なる食材が上手く調和する清泡ムク料理に「タンピョンチェ」という名を付けて政治的調和を図ろうとした
**材料と分量
清泡ムク 300g(1丁)、水 600g(3カップ)
下味: 塩 2g(小さじ½)、ごま油 2g(小さじ½)
牛肉(尻肉) 100g
タレ: 醤油 12g(小さじ2)、砂糖 6g(大さじ½)、ネギ 4.5g(みじん切り、小さじ1)、にんにく 2.8g(みじん切り、小さじ½)、ごま塩 1g(小さじ½)、コショウ 0.3g(小さじ⅛)、ごま油 2g(小さじ½)
緑豆もやし 100g、せり 50g、水 400g(2カップ)、塩 1g(小さじ¼)
赤唐辛子 5g(¼個)、海苔 2g(1枚)
卵 1個、油 小さじ1
酢醤油: 醤油 小さじ2、酢 大さじ2、砂糖 大さじ1、ごま塩 小さじ1
**材料の下準備
1. 清泡ムクは長さ7cm、幅・厚さ0.5 cm程度に千切りする。
2. 牛肉は綿布で血を拭き取り、長さ5cm、幅・厚さ0.3cm程度に千切りし、タレをかけて味付けをする。
3. 緑豆もやしは頭・ひげ根をとり、せりは葉をとってきれいに洗ってから長さ5cm程度に切る。赤唐辛子は洗ってから縦に半分に切って種と中身を取り除いた後、長さ3cm、幅・厚さ0.3cm程度に千切りする。
4. 卵は黄身と白身を別々に薄焼きにして長さ4cm、幅・厚さ0.3cm程度に千切りする。
5. 酢醤油を作る。

血を拭き取った牛肉は千切りしてからタレをかけて味付けをする
**作り方
1. 鍋に水を入れて強火にかけ、沸騰したら清泡ムク入れ、1分ほど茹でたら水気を切ってから下味で味付けをする。
2. 鍋に水を入れて強火にかけ、沸騰したら塩ともやしを入れて2分ほど茹でてから取り、せりは1分ほど茹でてから洗って長さ4cm程度に切る。
3. フライパンを温めてから油をひいて牛肉を入れ、中火で2分ほど炒める。
4. 海苔は弱火で1分ほど焼いてから細かく砕く。
5. 清泡ムクと牛肉・もやし・せりに酢醤油を入れて混ぜてから赤唐辛子・海苔・黄色と白色の薄焼きにした卵をつけ合わせる。

清泡ムクと牛肉、緑豆もやし、せりに酢醤油、色とりどりの食材を入れてよく混ぜる。タレは好みによって入れずに食べることもある
コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:韓国伝統飲食研究所
資料:美しい韓国料理100選
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr