「ソウル国際公演芸術祭2016」のクロージング作品はスロベニアのトマシュ・パンデュールが演出した『ファウスト』で、29日と30日の舞台を飾る
今年で16回を迎えた「ソウル国際公演芸術祭」が哲学について語る。
「舞台、哲学を語る」をテーマに韓国・ポーランド・ベルギー・カナダ・スロベニア・イギリスの6国の17作品が鐘路区(チョンロく)のアルコ芸術劇場と大学路(テハンノ)芸術劇場の舞台で公開される。
今年のオープニング作品はポーランドのクリスチャン・ルパ(Krystian Lupa)が演出した『Woodcutters-伐採-』。
4時間40分に及ぶ長舞台にも関わらずオープニング作品にふさわしく、その素晴らしさを存分に発揮した同作は、満席の客席からスタンディングオーベーションを受けた。
芸術祭最後の公演はスロベニアのトマシュ・パンデュール(Tomas Pandur、1963~2016)が演出した『ファウスト』。韓国でもお馴染みの『ファウスト』を現代風に再解釈したパンデュール最後の作品でもある。彼は今年の4月、心臓発作により他界した。
様々な芸術的冒険に挑戦するジャン=ミシェル・ドープの人形劇『聖★腹話術学園』では等身大の人形に我々の人生を映し出す
哲学をテーマにした今回の芸術祭では多様な舞台演出を鑑賞することもできる。
様々な芸術的冒険にトライすることで有名なベルギーの演出家ジャン=ミシェル・ドープ(Jean-Michel d'Hoop)の人形劇『聖★腹話術学園(L‘Ecole des Ventriloques)』が観客を訪れる。作品は主人公のセレストが不思議な腹話術者の学校に飛び込んだことで繰り広げられる物語。同作は13日から16日までの日程で大学路芸術劇場で上映される。
3年ぶりに韓国を訪ねた振付師ヴィム・ファンデケイブスの舞踊劇『Speak Low if you Speak Love』は実験的なライブ音楽と現代舞踊の切ないパフォーマンスで愛を語る
カナダとベルギーの現代舞踊も芸術祭に登場する。
カナダ・モントリオールダンスカンパニーの『プリズム』は、強烈な光と大胆な動きの舞台を23日と24日の両日にかけて披露する。ブノワ・ラシャンブル(Benoit Lachambre)が振り付けを務めた同作は、6人のダンサーが互いの身体がコミュニケーション・交流する方法をゲームの形で見せながら身体・声・光・意識の分裂を動きで表現する。
ベルギーのダンスカンパニー、ウルティマ・ヴェス(ULTIMA VEZ)の『Speak Low if you Speak Love』は現代舞踊で愛を語る。ヴィム・ファンデケイブス(Wim Vandekeybus)が振り付けを担当し、現代音楽家のマウロ・パヴロスキ(Mauro Pawlowski)の実験的なライブ音楽が共に流れる。公演は25日・26日の予定。
キム・エランの短編小説をパンソリ劇にアレンジした『ヨボセヨ』は現代人の人生に注目し、20~30代の女性が直面する不安について語る
韓国はキム・エランの短編小説『ノックしない家』をパンソリ劇にアレンジした『ヨボセヨ(もしもし)』が代表作。純粋な演劇の枠を超え、現代の話をパンソリで聞かせてくれる。女性5人が一緒に暮らす下宿を背景に現代人の日常に注目、20~30代の女性が直面する不安と未知の時間を率直に語ってくれる。演出を務めたパンソリ歌手のイ・ジャラムは「今の時代を生きる若い女性の現実であり、作品を作った人々と観客を含む我々皆の自画像。作品に登場する人物が自分とはどのようにつながっているのかを考えるきっかけになればと思う」と話した。『ヨボセヨ』の公演は20~22日に行われる。
チケットは韓国文化芸術委員会ホームページ(
www.koreapac.kr)とインターパーク(
ticket.interpark.com)で販売中。公演日程などの詳細はソウル国際公演芸術祭2016のホームページ(http://spaf.or.kr/2016/)で確認できる。
コリアネット イ・ハナ記者
写真:ソウル国際公演芸術祭
翻訳:イム・ユジン
hlee10@korea.kr