ミールワーム粉末が使われたえびのレモンクリーム煮
[イ・ジヘ、キム・ウニョン]
[写真=農村振興庁国立農業科学院]
韓国映画「スノーピアサー」(2014)では、登場人物が、昆虫で作られたプロテインバーを食べていた。異常気象で地球が凍ってしまい、昆虫食だけがたんぱく質を摂取できる方法になったからだ。また、フランス映画「パピヨン」(1973)でも、主人公が独房で飢えをしのぐために、ゴキブリなどを食べていた。
このごろ、昆虫食がマスコミに取り上げられることが多い。映画では、厳しい環境下で生き残るために昆虫を食べるシーンを良く見かける。東南アジアでは、サソリとムカデを揚げて食べたり、韓国では、ポンテギ(蚕のサナギを、茹でたり蒸して味付けしたもの)をおつまみで食べたりする。
昆虫食が国際的な関心を集めるきっかけになったのは、国際連合食糧農業機関(FAO)が2013年に出した報告書だ。報告書は、食品における昆虫類の役割に注目した。
昆虫は、たんぱく質含量が動物より2倍以上高い。温室効果ガス放出量やえさ・水の使用量なども動物より少ない。飼育期間も短く、ふん尿による汚染もない。
韓国でも昆虫食を開発する動きが続いている。農林畜産食品部(以下、農林部)は7月25日、昆虫7種(カブトムシやフタホシコオロギなど)を初めて家畜に分類し、昆虫農業を支援する方針を決めた。農村振興庁では、昆虫にあだ名をつける公募展を2015年から2年間、行ってきた。
また、昆虫は食品としても販売されている。BioJinと清州農業技術センターは昆虫スンデ(豚の腸詰め)を開発した。2014年に特許を取得した昆虫スンデを販売するお店も徐々に増えていて、消費者も良い反応を見せている。 BioJinの代表を務める朴男圭(パク・ナムギュ)さんは、「健康機能食品を研究していたところ、昆虫スンデを開発するに至った」とし、「飽和脂肪酸が多い豚肉の油の代わりに昆虫粉末を使っており、もっと淡白で香ばしい」と語った。
昆虫食の効能性も検証されている。農村振興庁と江南セブランス病院のパク・ジュンソン教授が患者109人(肝臓癌など)を対象にした共同研究結果を7月17日に発表した。その結果によると、ミールワームを長期間にわたって食べた結果、栄養状態が改善され、免疫力も高まった。ミールワーム粉末を食べた患者は、手術後の回復力も高まった。
ミールワームを使った海産物ヂヂミ
ソウル大学が発表した去年の研究報告書によると、韓国における昆虫食市場の規模は、430億ウォン(2018年基準)で、2030年までには992億ウォンを突破する見通しだ。
農林部は、昆虫に対する認識を改善し、昆虫食を健康機能食品に登録する取り組みだ。
jihlee08@korea.kr