食・旅行

2025.05.23

[長城=シャルル・オデゥアン] 
[写真=文化体育観光部]

今月3日の未明、15人の外信記者が、全羅南(チョルラナム)道・長城(チャンソン)郡にある白羊寺(ペギャンサ)を訪れた。その日は、明け方の礼拝前から霧雨が降っていた。

記者団は前日の夕方にソウルを出発し、300キロ離れた白羊寺に到着した。2569年を迎えたお釈迦様の誕生日を記念し、寺の至る所に五色のちょうちんが飾られていた。

心を落ち着かせるユニークな体験、テンプルステイ

寺に一晩泊まることができる「テンプルステイ」は、2002年韓日ワールドカップを控え、韓国政府が大韓仏教曹渓宗(チョゲジョン)と協力して始まった。宿泊施設が足りないという問題を解消し、外国人観光客に韓国の伝統的な文化を紹介するためのアイデアだった。テンプルステイは反響を呼び、その後20年間、約600万人がテンプルステイを体験した。そして、そのうち11%が外国人だった。

白羊寺は赤い紅葉が美しい内蔵山の南部にある。仏教が韓半島で広まった7世紀の百済時代に創建された。

白羊寺は赤い紅葉が美しい内蔵山の南部にある。仏教が韓半島で広まった7世紀の百済時代に創建された。


寺に足を踏み入れると、渓谷を流れる川のせせらぎが聞こえてくる。境内の向こう側には、巨大な岩壁が屏風のようにそびえ立っている。ここは、都会の喧騒とは無縁の場所である。

韓国の伝統的な地理思想は、水系と山系には連続性があるという。白羊寺の住職、ムゴン僧侶は白羊寺について、「韓国の全ての気運が集まる最後の場所です。昔から長城で、優れた人物や学者が多く輩出されたのも、この気運のおかげです」

白羊寺の僧侶たちと、大雄殿で夜明けの礼仏を行う記者団の様子。

白羊寺の僧侶たちと、大雄殿で夜明けの礼仏を行う記者団の様子。


夜明けの祈りと瞑想、僧侶の「モーニングルーチン」

僧侶の一日は、夜明けの礼拝で始まる。午前4時20分、僧侶たちが黄金色の仏像の前に座った。木魚の音に合わせ祈りを捧げる。ひざまずいてから立ち上がり、合掌した後、再び体を低くして、額を床につける。両手は頭の両脇の床に置く。記者団もその動作を真似ながらお辞儀をした。

礼拝が終わり、参禅が続いた。姿勢を正して坐った状態で瞑想を行った。心が落ち着き、安らぎを感じた。

午前6時、朝の食事として米、わかめスープ、野菜の和え物のおかずがきれいに並べられた。食べ物を残してはいけない。全部きれいに食べて、食器洗いまで終えた。食べる行為自体が修行の一部であるのだ。

(時計回りに)キュウリとタケノコの和え物、シイタケと麻、白羊寺のコンブチャ、テンジャンチゲ。

(時計回りに)キュウリとタケノコの和え物、シイタケと麻、白羊寺のコンブチャ、テンジャンチゲ。


食卓での修行

午前10時、精進料理で有名なチョングァン僧侶に会った。チョングァン僧侶は、2017年、ネットフリックスのフードドキュメンタリー「シェフのテーブル」に出演した。その後、世界各国の料理人たちが白羊寺を訪れている。精進料理の真価を知り、その心得を学ぶためである。

調理台の上にはキムチ、カンジャン(韓国の醤油)・テンジャン(韓国の味噌)・コチュジャン、酢とタケノコ、キュウリ、キノコ、サンショウ、覆盆子(ポップンジャ)などが用意された。いずれも白羊寺で作られた無農薬の食材だ。香りの強いニンニク、玉ねぎ、長ネギはなかった。

チョングァン僧侶は、スプーンでかぼちゃを切りながらこう言った。「料理をするには、まず食材についてよく考えなければなりません。どこで作られたものなのか、どのぐらいの量が必要なのか、(調理法は)ゆでるのか煮るのかなど、ひとつひとつよく考えてから決めます」

食事の前に朗読文を読むチョングァン僧侶

食事の前に朗読文を読むチョングァン僧侶


一口、一口が深みのある味がした。それぞれの野菜とナムルは、目を閉じて食べても分かるほどの、固有の香りがあった。テンジャンチゲは、今まで食べたテンジャンチゲの中で一番おいしかった。

白羊寺をはなれる前、チョングァン僧侶と一緒にお茶を飲みながら話をした。チョングァン僧侶は、「すべての食べ物に言えることですが、間違った食べ方をすると、病気になることもあります。しかし、「食」はとても重要なものです。食べるという行為なしには、人は生きていけないのですから」と話した。

白羊寺を訪れるには、車で行くのが一番便利だ。湖南高速道路の内蔵山インターチェンジか、白羊寺インターチェンジを出た後、国道1号線に沿って長城湖方面に15~20分だ。

汽車で訪問する際には、ムグンファ号なら湖南(ホナム)線の白羊寺駅で、KTXなら長城駅で降りる。バスなら、長城共用バスターミナルで降りるといいだろう。バスターミナルからは、市外バスもあるが、タクシー(料金2~3万ウォン)のほうが便利だ。

テンプルステイの予約は、ホームページ(templestay.com)で可能。

caudouin@korea.kr