文化

2019.10.30


小説「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳版。(左上から時計回りに)韓国版、日本版、台湾版、ベトナム版、ハンガリー版、タイ版、中国版、スペイン版=民音社提供

小説「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳版。(左上から時計回りに)韓国版、日本版、台湾版、ベトナム版、ハンガリー版、タイ版、中国版、スペイン版=民音社提供



[ソウル=イ・ギョンミ]

映画「82年生まれ、キム・ジヨン」が23日の公開から1週間で、観客動員数120万人を超え、1位を記録している。


映画の人気に伴い、原作小説への関心もさらに高まっている。

チョ・ナムジュ作家の長編小説「82年生まれ、キム・ジヨン」は、34歳の専業主婦キム・ジヨン氏が家庭や学校、職場などで経験する男女の不平等、苦悩を描き、韓国社会にひそむ女性差別を表現した作品。韓国女性なら、誰もが共感できる話を淡々と語り、2016年に韓国で刊行されて以来、120万部以上が販売され、ミリオンセラー小説となった。

この小説への高い関心は、韓国だけの話ではない。

ジェンダー不平等に関するイシューは、特定の国の問題ではなく、全世界に共通するテーマであるため、世界各国から共感を得ている。日本・中国・台湾・ベトナムといったアジア地域以外にも、米国・英国・ドイツ・フランス・スペイン・ロシアなど計17カ国に輸出され、小説を原作とする映画も37カ国にすでに販売された。


その中でも特に、日本での反応が熱い。

昨年12月に刊行された日本語版は、発売からわずか1カ月で5万部を突破し、韓国文学としては異例の売れ行きを見せている。


また、NHKや朝日新聞、産経新聞など日本の主なメディアで数回取り上げられ、日本でもこれまで語られたことのない経歴断絶(結婚や出産を機に、仕事を辞めざるを得なくなって、キャリアが途切れてしまうことを指す韓国語)、性差別問題が社会的な話題となったと評価された。


昨年9月に刊行された中国版は、中国最大のネット書店「堂堂」で小説部門1位となった。台湾では、2018年5月に刊行されてから2週間で増刷が決まり、台湾最大の電子書籍サイト「Readmoo」で1位を記録した。
英国では、「82年生まれ、キム・ジヨン」の版権を取るため、多数の出版社が競争する事態も起こった。

文学評論家で編集者の朴惠眞(パク・ヘジン)さんは、「一般的な輸出側、輸入側という立場が逆転し、海外の出版社から先に連絡が来た。この作品を高く評価し、どうしても出版したいと強くアピールしてきた」と話した。


その上で、「具体的な状況は国それぞれだが、女性が経験する差別の問題や断絶、疎外の感覚は国境を越えた普遍的なテーマだ」とし、「この作品はそれを伝える強い力を表現しているため、世界各国で高く評価されると思う」と分析した。


日本、中国、台湾、タイ、ベトナム、スペイン、ハンガリーで刊行された小説「82年生まれ、キム・ジヨン」は、2020年2月に米国と英国でも同時に発売される。

km137426@korea.kr