文化

2020.11.16

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昌徳宮熙政堂内部の接見室=11日、ソウル



[ソウル=キム・ヨンドク、イ・ギョンミ]
[写真=キム・シュンジュ]

ソウル鍾路(チョンノ)区にある昌徳宮(チャンドックン)の熙政堂(ヒジョンダン)。中央接見室の天井から吊り下がっているシャンデリアに灯りがともると、観客らは感嘆の声をあげた。100年前に再建された宮殿のシャンデリアに電灯がつくのを見て、驚いた様子だった。

11日の午後2時、昌徳宮の熙政堂内部特別観覧に参加した14人の観客は、伝統と近代が調和する熙政堂を楽しんだ。

文化財庁の宮陵遺跡本部は、熙政堂の再建100周年を迎え、普段は非公開の熙政堂内部を、先月21日から11月14日まで、特別観覧の形にして一般人に公開した。

昌徳宮の宣政殿(ソンジョンジョン)と大造殿(テジョジョン)の間にある建物である熙政堂は、朝鮮時代に王と王妃が生活していた場所である。最初は、王の寝殿であったが、後に政務を行う執務室として使われた。「ロ」字型の熙政堂は、真ん中に庭があり、王族の休憩室である東行閣(ドンヘンガク)、接見室、王家の秘書らが勤務する場所である西行閣(ソヘンガク)からなっている。

1917年に火災で焼失した熙政堂は、1920年に再建された。再建の当時、外部は朝鮮時代の建築法を用いたが、内部はシャンデリアやラジエーターなど、西洋の生活様式が導入されたため、伝統と近代が融合している空間となった。

今回の特別観覧は、東行閣・接見室・西行閣の順で、1時間にわたって行われた。

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洗面台やボイラーなどが設置されている昌徳宮熙政堂内部のトイレ=11日、ソウル



観客らは、車の駐停車が可能な西洋式玄関から熙政堂の中に入った。文化解説士のイ・ジョンチュンさんはトイレのことを、近代を象徴する要素であると紹介した。

トイレには、小便器や洗面台、ロンドンで製作されたボイラーが置かれていた。イさんは、英語で「HOT」と「COLD」と書かれている水栓を指し、近代の要素が伺えると説明した。

東行閣に入ると、ここにはラジエーターがあったとイさんが説明した。その上で、韓国の伝統的な暖房法であるオンドルが、中央暖房に変わったものと付け加えた。

接見室には、レッドカーペットや華やかなシャンデリアが目を引いた。天井には、韓国の伝統的な模様で飾られており、接見室の中には20世紀初めのヨーロッパで流行っていたロールトップデスクや大型の鏡が配置されていた。

このように、熙政堂に西洋の要素が加わったのは、高宗(コジョン、大韓帝国の初代皇帝)に初めてコーヒーを紹介した人物でもある、ドイツ人のマリー・アントワネット・ソンタグから影響を受けたからだと思われる。

2018年10月からスタートした熙政堂の復元作業は、今までに2回行われ、電気・電灯工事や壁紙、カーペットの復元が完了した。

文化財庁は今後、王様が生活していた場所も公開する予定である。熙政堂の北側にある大造殿(王の寝殿)の場合、カーテンの復元やバスルーム・トイレの修復が終わった後、一般に公開する予定である。

kyd1991@korea.kr