韓国国立バレエ団Facebook
[東京=春日花(日本)]
『くるみ割り人形』は、クラシック古典バレエの代表作品の1つとして世界中で親しまれており、毎年クリスマスの季節になると各国のバレエ団で公演が行われます。
原作は、ドイツの作家ホフマンの童話『くるみ割り人形とねずみの王様』をデュマがフランス語に翻訳した『はしばみ物語』です。
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物語のヒロイン、クララがクリスマスプレゼントに貰ったものは、奇妙なくるみ割り人形。クララが夜中に目を覚ますと、くるみ割り人形がネズミの大群の襲われそうになっていました。クララは自分の大切な人形を投げてくるみ割り人形をネズミたちから助けると、くるみ割り人形は王子の姿に変身しました。王子は自分を助けてくれたクララを夢の中の人形の国へ招待します。
この物語を基にして、ロシアの作曲家チャイコフスキーがバレエ音楽として『くるみ割り人形』を発表しました。
子どもから大人まで楽しめるクリスマス定番の演目「くるみ割り人形」。派手な舞台や衣装、また、明るくリズミカルな演奏に合わせたスペイン、中国、ロシアなど世界各国の踊りが目を引きます。
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バレエに詳しくなくても、色鮮やかで楽しくクリスマスらしい雰囲気を味わえる『くるみ割り人形』は、まさに冬の名物ともいえるでしょう。
韓国では、韓国バレエを代表する「国立バレエ団」と「ユニバーサル・バレエ団」が上演します。バレエ団ならではの演出や振り付けが見どころの一つです。
1つ目の見どころは、ヒロインの違いです。
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国立バレエ団では、ヒロインに<マリー>を起用しています。マリーは「くるみ割り人形」の原作である童話「はしばみ割り物語」の主人公の名前です。王子となったくるみ割り人形に招待されたお菓子の国でマリー自身が金平糖の妖精に変身するというファンタジー要素の強い展開になっています。
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これに対し、ユニバーサル・バレエ団では原作でマリーが貰った人形の名前である<クララ>を主人公にしています。これは、マリインスキーバレエ団の影響を受けたと言われています。
2つ目の見どころは、演出方法の違いです。
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ユニバーサル・バレエ団では、小道具や衣装にも力を入れています。ネズミや人形なども人間のダンサーが表現するのではなく、衣装や小道具でわかりやすく表現されています。迫力のある演出がユニバーサル・バレエ団の魅力ではないでしょうか。
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ユニバーサル・バレエが本物の人形を登場させているのに対し国立バレエ団では、くるみ割り人形を子役ダンサーが演じています。
くるみ割り人形は元々王子でしたが、呪いによってくるみ割り人形の姿に変えられてしまったという設定です。王子に変身するまでの姿を子供が演じている国立バレエ団では、呪いに懸けられているという様子がよくわかるようになっています。
ヨーロッパの伝統を受け継いだユニバーサル・バレエと、バレエの継承を受け継ぎつつ独自の芸術性も融合させた韓国国立バレエ団。同じ作品でもそれぞれのバレエ団の特徴が良く出ていることがわかります。
韓国国立バレエ団(左)とユニバーサルバレエ団の公式ポスター=同団の公式ホームページ
今年のユニバーサル・バレエ団の『くるみ割り人形』は、12月18日から30日まで世余文化センターにて。国立バレエ団の『くるみ割り人形』は、12月14日から26日まで芸術の殿堂にて公演が行われます。
韓国バレエを観劇する際は、ぜひ好きな雰囲気のバレエ公演を観劇してみてください。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
eykim86@korea.kr