ひと

2022.09.16

▲ 지난 5월 전주국제영화제(JIFF)에서 월드 프리미어로 상영된 ‘이창동: 아이러니의 예술’ 한 장면.

「李滄東:アイロニーの芸術」のワンシーン=全州国際映画祭


[チョン・ジュリ]
[写真=アラン・マザール]

韓国映画界の巨匠として知られる李滄東(イ・チャンドン)監督。フランス出身のアラン・マザール監督は李氏の作品に魅了され、李氏の世界観に注目したドキュメンタリー映画「李滄東:アイロニーの芸術」(2022年)を制作した。第23回全州国際映画祭(4月28日~5月7日)で初公開され、好評を得た。


マザール氏は1955年パリ生まれ。1979年から中短編・ドキュメンタリー映画の製作に取り組んでいる。映画監督、ダグラス・サーク氏やジャック・ターナー氏、アトム・エゴヤン氏にスポットを当てるドキュメンタリー映画を製作したことで知られている。

李氏は1954年大邱生まれ。教師として勤務する傍ら小説家として活動し、1997年に「グリーンフィッシュ」で映画監督としてデビューした。同作品で第16回バンクーバー国際映画祭で龍虎賞(新人監督賞)を受賞。


代表作のうち、「オアシス」(2002年)は第59回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、銀獅子賞 (監督賞)を受賞した。「シークレット・サンシャイン」(2007年)と「ポエトリー アグネスの詩」(2010年)、そして「バーニング」(2018年)はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された。「ポエトリー アグネスの詩」で第63回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど、数々の受賞歴を誇る。

芸術作品をドキュメンタリー映画で記録するというマザール氏。彼はコリアネットとの書面インタビューで「李滄東:アイロニーの芸術」について語った。

▲ 알랭 마자르 프랑스 다큐멘터리 감독.

フランス出身の映画監督、アラン・マザール氏=本人提供


――李氏の代表作について。同映画を製作したきっかけは。

李氏の作品のうち、初めて見たのが「ペパーミント・キャンディー」(2000年)だった。李氏は同作品で第53回カンヌ国際映画祭で「15人の監督」に選ばれた。時間をさかのぼるという設定が印象深かった。


「オアシス」は、テーマやシナリオ、視覚的要素(ミザンセーヌ)、演技、すべてが完璧な名作。「グリーンフィッシュ」では、個人的なエピソードを語る技量が優れている。「シークレット・サンシャイン」、「ポエトリー アグネスの詩」、「バーニング」を見終わった後、李氏のドキュメンタリー映画を製作すると決めた。

――製作過程について。

フランス映画雑誌「ポジティフ」の所属批評家、ヤン・トビン氏と李氏のインタビュー記事からインスピレーションを受け、シナリオ執筆に取り掛かった。李氏に出演の許可を取り、韓国の映画製作会社と連携し、プロデューサーのジーン・ファブライス・バーンオルト氏とチームを組んだ。

▲ ‘이창동: 아이러니의 예술’ 한 장면. 영화 ‘박하사탕’ 촬영지다.

「李滄東:アイロニーの芸術」のワンシーン。「ペパーミント・キャンディー」の撮影地=全州国際映画祭


――同作品で李氏の映画撮影地を紹介している。製作段階で新型コロナの影響は?

「バーニング」(ソウル市龍山区、京畿道坡州市)と「グリーンフィッシュ」(京畿道高陽市、ソウル市永登浦区)の撮影地が紹介されている。コロナ禍の影響で韓国に行くことができなかった。李氏と直接会って仕事をしたかったが、それができなくなってとても残念に思う。


結局、オンライン会議システム「ZOOM」でやり取りするしかなかった。撮影期間は2021年9月から10月までの16日間。上質な撮影・録音機材が用意されている環境で、翻訳家のチョ・ギョンヒ氏が通訳・翻訳してくれて順調に行われた。

――時間を逆の順序で紹介しているが。


最新作「心臓の音」(2022年)からデビュー作、李氏の子供時代までを逆の順序で回想していく撮影方法をとった。作品では、李氏が代表作の撮影地を訪問し、自身の人生を振り返る。最終的には、芸術的なインスピレーションを受けた子供時代まで回想する。


▲ ‘이창동: 아이러니의 예술’ 한 장면. 영화 '초록 물고기' 주연 배우 문성근과 이야기 나누는 이 감독.

俳優ムン・ソングン氏と会話する李氏(左)=全州国際映画祭


――李氏の代表作は、韓国の近代史との関係が深い。

韓国の近代史についてはほとんど知らなかった。李氏とオ・ジョンミ作家の対話を通じて「5・18民主化運動(光州事件)」などの韓国の歴史的な要素が小説・映画に反映されていることが分かった。今回の作品で芸術家への賛美や、韓国の歴史と李氏の人生との連携性を見せたい。

――記憶に残るエピソードは。

韓国とフランスの時差のせいで、撮影期間中ずっとぼんやりしていた。しかし、撮影地はどこも非常にすばらしかった。特に「ポエトリー アグネスの詩」の撮影地、慶尚南道の密陽市にある川が記憶に残る。1978年、教師として働いた中国の風景に似ている。

▲ ‘이창동: 아이러니의 예술’에서 이창동 감독이 자신이 졸업한 초등학교에서 유년 시절을 회상하는 장면.

「李滄東:アイロニーの芸術」のワンシーン=全州国際映画祭


――李氏の代表作を「アイロニーの芸術」と定義した。その意味とは。

ドキュメンタリーは「時間」と「空間」を旅しながら登場人物に問いかける。李氏はすべての登場人物にはアイロニーがあるということを強調している。また、社会・環境・歴史的な要素が登場人物にどんな影響を与えるのか。俳優はそれらをどのように演技し、監督はカメラに映すのか。李氏の理想的な人間像・世界観などを説明したい。

――観覧客に一言。

韓国と遠く離れているフランスで李氏をテーマとする映画があるというのは、彼の作品が普遍的かつ一般的であることを証明する。映画好きな人に興味を呼び起こすドキュメンタリー映画に違いない。

etolejr@korea.kr