多くの若者が集まる場所では新たな文化が生まれる。ソウルを例にすれば、「夜の文化」に代表される「カンナム(江南)」や大学文化の中心地「ホンデ(弘益大学周辺)」、ショッピングのメッカ「ミョンドン(明洞)」など、いわゆる「市内の中心地」と呼ばれる街の人気の背景には若者の存在がある。このように、世界のどこであろうと、若者が集まる街は外国人観光客の興味を刺激するものだ。
このところ韓国を訪れる外国人観光客の中で団体パッケージツアーよりも自由旅行を楽しもうという人が増え、あまりにも有名になりすぎた観光地よりも、韓国人が多く集まる「若者の街」、韓国人の日常風景を垣間見られる場所を訪れる観光客が増えている。
スパムやキムチ、トッカルビ、目玉焼きなど、いろいろな具が入ったトッパプを味わえる鷺梁津の「コッパプ・ロード」
そんな平凡な文化を体験できる観光地として新たに注目を集めているのがノリャンジン(鷺梁津)の「コッパプ・ロード」だ。考試専門塾と書店が建ち並ぶ鷺梁津駅一帯は、もともと公務員試験といった難関試験を控えた受験生たちが主に訪れる街だった。この街に飲食店街が形成されたのは、韓国が通貨危機に直面した1998年以降だ。試験を目前に控え、時間も金もない学生たちが気軽に食べられるトッポッキやスンデ(腸詰め)、ティギム(韓国風てんぷら)など、リーズナブルで平凡なものを販売する屋台から始まった。その後、メニューが多様化するなか、栄養のバランスを考えたメニューとして「コッパプ」が登場し、この街の人気は爆発的に高まった。
コッパプ・ロードで販売される食べ物の魅力は、多様なメニューとリーズナブルな価格だ。プルコギとキムチ、サムギョプサルとチェユクポックム(豚肉炒め)、キムチツナ炒めとトビコ入りご飯、チェユクポックムとツナマヨネーズなど、様々な具材を組み合わせたトッパプ(丼)が1人用のプラスチックのコップ(容器)に入っている。その上にスパムやトッカルビ、ソーセージ、チーズなどお好みの具材を追加でトッピングすることができる。3,000ウォンが基本で、別のトッピング具材を追加すればプラス500ウォン。コッパプ・ロードでは、トッパプの他にもポックンパ(チャーハン)やカレーライス、日本風のもやしナムル丼、ベトナム人がつくったフォー(韓国名「サルグクス」)、トルコ風ケバブなど、様々な国の料理も味わえる。椅子もない場所で隣の人と肩をぶつけ合いながら食べなければならない不便はあるが、観光客はむしろ雨が降れば降ったなりに、寒ければ寒いなりに不便を受け入れながら文化を体験することも魅力の一つと感じている。
分厚い肉入りパティと目玉焼きやニンジンなどが独特のソースと絡み合った手作りバーガー
鷺梁津のコッパプ・ロードでは、食事だけでなく様々なデザートも販売されている。肉入りパティや目玉焼きとニンジンが入った手作りバーガー、ピリッと辛いチリ風味のソーセージ、コーンサラダとソーセージを組み合わせたパンケーキなどボリュームたっぷりの軽食のほか、チョコレートクリームが入ったホットクや果物とアイスクリームがトッピングされたワッフル、旬の果物で作ったジュースなどデザートもあり、選択の幅が広い。どれも1,500~2,500ウォン程度なので、1万ウォンあればお腹いっぱい食べられる。
鷺梁津駅前の横断歩道橋を境として、駅側には鷺梁津水産市場が、反対側にはコッパプ・ロードが形成されている
鷺梁津のコッパプ・ロードの店主たちは、「横断歩道橋の向こうには新鮮な海産物を安く買える鷺梁津水産市場があり、鷺梁津は自由旅行を楽しむ観光客の間で人気スポットとなっている。中国人観光客が最も多く、米国やカナダなど欧米からの観光客もよく見かける」と口を揃える。
記事:コリアネット イ・スンア記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
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