グレッグ・ブレジンスキー教授
[ユン・ソジョン、イ・ギョンミ]
最近、米国のある日刊紙に掲載された一つのコラムが韓国と日本で同時に注目を集めた。
韓国と日本の葛藤の原因は日本の過去否定にあるという内容のこのコラムを書いたのは、米ジョージワシントン大で歴史国際問題学を研究しているグレッグ・ブレジンスキー教授。
東アジア歴史と国際関係について深い洞察力を持っているブレジンスキー教授は、韓国の近代化や今の韓国の民主主義モデルの特性に関する2冊の本を書くほど、韓国をはじめとする東アジアの国際関係分析に通じている専門家である。
16日行われたコリアネットとの書面インタビューで、「日本による植民地時代に、強制徴用された被害者に対して、賠償するよう韓国大法院(最高裁)が下した判決が、今回の日本の輸出規制措置の背景」」とし、「日本がドイツのように過去について謝罪し、被害者に最善を尽くしていたら、そもそもこのような訴訟は起きなかったはず」と指摘した。
ブレジンスキー教授は、今の韓日葛藤の解決策として、両国が輸出規制措置を撤回し、対話に乗り出すことを提案し、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今年の光復節祝辞で、日本に対話を提案したことは正しいこと」と評価した。その上で、日本が誠実で一貫した姿勢で韓国人に許しを請い、両国が対話の道を模索することを強調した。
以下はインタビュー全文。
―教授は韓日葛藤の原因について、日本が歴史問題についてきちんと反省しないことにその原因があると分析した。それに関する説明を。
日本政府は、安全保障上の理由を挙げて輸出規制を決めたというが、韓国の戦略物資の輸出統制が安保に影響を与えたという主張の証拠は提示していない。多くの米専門家らは、強制徴用被害者の韓国大法院判決に対し、日本が不満を感じてこのような措置を取ったと考えている。もし、ドイツと同じように、日本が過去の罪を償い、被害者を慰めることに最善を尽くしていたら、そもそもこのような訴訟もなかったはずだ。日本に対する韓国の怒りは、お金のせいではないと思う。韓国の怒りは、歴史問題に対する日本の指導者らの態度に深い失望を感じたことから来るものである。このような怒りは、両国間における経済危機や報復として現れ、悪化しつつある。
―日本政府が歴史問題に消極的な態度を見せる原因は。
冷戦時代初期、米国の政策からも一部原因を見つけることができる。当時、米国は反共主義に集中し、韓日の和解、第2次世界大戦当時の過ちに対する日本の反省などを優先しなかった。日本の植民地時代と第2次世界大戦によって韓国が経験した苦しみは計り知れないものであったにも関わらず、東京戦犯裁判には韓国人の裁判長や検事は一人もいなかった。また、米国は、日本の戦犯らと親しい関係を図り、そのうち岸信介(1896~1987)は1950年代に日本の総理大臣になった。米国の態度によって日本人は、自国が犯した歴史的な過ちは、戦争による避けられない結果であり、他の戦犯国家よりは悪くないだろうと考えたようだ。
しかし、その原因が米国の外交政策にあるとは限らない。ドイツの指導者は日本の指導者とは異なる態度を取ることで信頼を得た。例えば、西ドイツのヴィリー・ブラント(Willy Brandt、1913~1992)元総理は1970年、ポーランドのワルシャワにあるゲット英雄記念碑に献花した後、事前の予告もなくひざまずき、謝罪した行動には犠牲者に対する哀悼の気持ちが表れていた。その一方で、日本の政治指導者らは自国の軍隊が中国と韓国に対して犯した過ちについて、ブラント総理のように謝罪したことが一度もない。
―これまで日本は、1965年に締結した請求権協定に基づき、全ての賠償問題を解決したにも関わらず韓国は謝罪だけを求めていると主張してきた。その結果、多くの海外メディアは、韓国が日本に対してタダをこねているというイメージを持っているようだ。一方で韓国は、日本はちゃんとした謝罪をしたことがないという立場である。韓国は歴史問題についてどのような態度を見せるべきか。
歴史問題において韓国は、正直で開かれた態度で対話に乗り出す意向があることを見せるべきだと思う。そのためには、証拠を詳しく調べ、その調査結果を両国民に公開しなければならない。対話を通じて、両国が戦争の悲惨さを世界に知らせ、再びこのようなことを繰り返さないということを確認させる必要がある。
―最近の韓日葛藤について多くのメディアが、強制徴用に関する韓国司法部の判決への報復措置だと分析している。しかし、日本政府はその判決とは関係のない貿易問題だと主張している。客観的に分析するとしたら。
日本の措置が韓国大法院の判決と関係がないとは思えない。もし、韓国が北朝鮮に戦略物資や技術をひそかに運び出したという証拠があるなら、日本はその証拠を公開しなければならない。その証拠を提示していないことを考えると、日本が別の動機を持っている可能性が高い。
―韓日葛藤の解決方法は何か。
韓日両国が、まず先に、輸出規制と経済制裁を撤回することを勧める。そうしなければ、両国間の葛藤は世界経済に深刻な影響を与えるだろう。実際に米国と中国の貿易戦争も深刻化し、ここ数十年間にわたって東アジアの繁栄に貢献してきた自由貿易と協力体制の基盤を揺るがす危険が現実味を帯びている。文大統領が光復節の祝辞で和解の手を伸ばし、日本に対話を提案したのは正しいことだと思う。
長期的に見て、韓国と日本には、より深い和解の道を模索してほしい。日本が誠実で一貫した姿勢で韓国人に許しを請うべきだ。両国が相互協力すれば、お互い恩恵を受ける道が開ける。韓日関係が良くなれば、相互繁栄と安全保障の道へと共に進むことができる。
ワシントンポスト紙のネット版キャプチャー
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