社会

2025.03.07

「白頭大幹グローバルシードバンク」の全景=奉化郡、韓国樹木園庭園管理院

「白頭大幹グローバルシードボルト」の全景=奉化郡、韓国樹木園庭園管理院


[ 奉化=キム・ソナ] 

昔、神が人類の堕落を怒って大洪水を起こした。神は信心深いノアに巨大な箱船を作ることを命じ、ノアとその家族、動物たちだけが生き残った。聖書に登場する「ノアの箱舟」のストーリーだ。


ノアの箱舟のように、大災害に備えるためのシードバンクが全世界に2つ存在する。人や動物ではなく、種を保管するシードボルト。シードボルトとは、植物の種子を人の手で保管する「種子貯蔵庫」のことを指す。

シードボルトのうち一つはノルウェーの「スバールバル・グローバルシードボルト」で、スピッツベルゲン島にある。もう一つは韓国の慶尚北(キョンサンブク)道・奉化(ボンファ)郡の山奥にある「白頭大幹グローバルシードボルト」だ。

もし、気候変動や環境汚染、自然災害、戦争のような大災害で、植物が絶滅の危機に追い込まれた場合どうするか。

シードボルトに保管されている種が、人類が生き残るための最後の希望となるだろう。そのため、「現代版ノアの箱舟」とも呼ばれている。

「白頭大幹グローバルシードボルト」は、全世界の野生植物の種を保管する最先端の貯蔵施設である。全世界の野生植物の種子を安全に貯蔵し、生物多様性を守ること。2050年までに全世界の植物のうち、約30%以上の野生植物の種子を安全に保存することが目標だ。

ここにはどのような種が保管されているのだろうか。人類が絶滅の危機に追い込まれたら、どのように活用されるのか気になる。

KOREA.netは先月19日、シードボルト運営センター長にインタビューを行った。

シードボルトのキム・フェジン運営センター長。シードボルトと保存環境が似ているシードバンクは、マイナス20度、相対湿度40%以下を維持するようになっている=19日、奉化、イ・ジュニョン

シードボルトのキム・フェジン運営センター長。シードボルトと保存環境が似ているシードバンクは、マイナス20度、相対湿度40%以下を維持するようになっている=19日、奉化、イ・ジュニョン


- 自己紹介をお願いします。
はじめまして。シードボルト運営センター長のキム・フェジンです。

- 「白頭大幹グローバルシードボルト」では、なぜ野生植物の種子を扱っているのですか。
野生植物は栽培作物とは違って、まだまだ情報が足りません。無限の可能性を持っていると言えます。野生植物の活用方法についてわからないまま、植物がなくなってしまったら、未来世代は非常に限られた生物の種だけで生きていくことになります。私たちは、未来世代のために備えることを重要視しています。

- シードボルト運営センターの運営で、難しい点はありますか。
「白頭大幹グローバルシードボルト」という名前に「グローバル」が入っています。私たちの目標は、全世界の野生植物の種子を保存することです。でも思っていたより、国外から種子を持ち込むことは容易ではありませんでした。自国の大切な植物資源を、他国に任せることは難しいという意見もあるからです。それで私たちは「ブラックボックスシステム」を作りました。寄託者が種子を入れて、固有番号付きの保安ラベルを付着して封印し、寄託機関の所有権を保障するというシステムです。

- やりがいを感じるときはいつですか。
私たちの仕事は、植物の種子を毎日管理することです。でも、たまに気の遠くなるような仕事だなと思うときがあります。なぜなら、いつ絶滅するかわからない種子をずっと保存していかなければならないからです。

ときどき、外部から依頼されてシードボルトの紹介をすることがあります。私たちの業務内容についても説明するのですが、韓国にこのような重要な施設があることに意味を感じてくれる人も多くいます。大事な任務を果たしているということを知ってもらえたときに、やりがいを感じます。

- 最後に、KOREA.netの読者に一言お願いします。
シードバンクで、種子を収集・保存している国があったら、一部のコピーを「白頭大幹グローバルシードボルト」に寄託していただければと思います。(笑)

sofiakim218@korea.kr