[平昌=イ・ギョンミ]
[映像=チェ・テスン、イ・ハヌル]
ベトナム出身のグエン・ヴァン・カン選手は大きく深呼吸し、スタート地点に立った。助走で勢いをつけて、そりに乗る。速度はあっという間に100キロを超え、1400メートルのトラックを通過する。
江原道(カンウォンド)の平昌(ピョンチャン)に位置するオリンピック・スライディング・センター。コリアネットが取材で訪問した23日は、スケルトンとボブスレー選手の訓練が盛んに行われていた。その中でも、未だに厚いダウンジャケットを脱ぐことができない、肌の色が違う数人の選手が目に入った。
この選手らの国籍はベトナム、カンボジア、マレーシア、タイ。文化体育観光部が江原道、2018平昌記念財団と共に、2018平昌冬季オリンピック・パラリンピック(以下、平昌冬季五輪)レガシーの活用の一環として進めている「新南方スライディング・チャンピオン育成事業」に参加している選手たちである。
訓練の準備をするカンボジア選手=イ・ギョンミ撮影
1年中暖かいため、冬のスポーツに接することが難しい東南アジアから来た14人。去年10月から次々と韓国に入国した。新型コロナウイルスの影響により、ビザを申請する過程で様々な問題が発生したが、文化体育観光部と外交部の尽力のおかげで、今は訓練に集中している。
選手たちは去年韓国に来て初めてスケルトン用、ボブスレー用のそりを見たが、今では、そりに乗ることはもちろん、管理にもずいぶん慣れてきた。韓国人監督とコーチの指導を受け、生まれて初めて経験する酷寒に耐えて訓練を受けるうち、実力もぐんと伸びた。
ベトナム出身のカン選手は「ベトナムはとても暑いが、韓国はすごく寒い」とし、「何よりも気候に慣れることが重要だ」と話した。また、「韓国の食・伝統・文化が好きだが、特に人が好き」とし、「良い結果を出して、ベトナムだけでなく私たちのために一生懸命に努力してくれる皆さんにとって誇りになりたい」と語った。
ベトナム、カンボジア、マレーシア、タイの4カ国から来た選手たち=2018平昌記念財団
マレーシア出身のジョナサン・ヨー選手は、「オリンピック出場が、とても難しい目標であることはよくわかっているが、せっかく与えられたチャンスなので、ベストを尽くしたい」とし、「スケルトンを続けて、2026年の冬季オリンピックにも出場したい」と抱負を語った。
選手たちの今の目標は、2022年北京オリンピックに出場すること。その前に、自分たちのレベルをテストできる「2021コリアカップ国際ボブスレー・スケルトン」大会が9日から25日まで開催される。
新型コロナウイルスの影響で海外で開かれる国際大会に出場することができず、2022北京冬季オリンピックに参加できる資格を獲得するための大会参加が不可能の中、韓国が国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)から公認を得て開催する大会である。大会の関係者は、「この大会は、選手たちが訓練を始めてから初めて参加する国際大会であるため、今まで積んできた実力を試してみるいい機会になるだろう」と説明した。
選手たちは大会が終われば、3月末ごろに自分の国へ戻る。そして、しばらく休憩をとった後、また5月から訓練が始まるのである。
2018平昌記念財団のチャン・ジンサン事務処長は、「韓国は平昌冬季オリンピックを招致する際に、国際オリンピック委員会(IOC)と国際社会に、世界冬季スポーツの発展に貢献すると約束した」とし、「その約束を守るため、オリンピック施設を活用し、冬季スポーツを振興させるために努力する」と述べた。
3年前の冬、冬季オリンピックが開かれた平昌は、世界を熱くさせた。平昌オリンピックのレガシーを活用するこの場所には、次のオリンピックに向けた選手たちのパッションで満ちている。
km137426@korea.kr