慶尚南道統営市で4代にわたって(135年間)伝統技法で竹すだれをつくってきた職人のチョ・デヨンさん
「竹林から切って持ってきた竹で手作りの自然芸術品を作っています。一つの作品が完成するまで数カ月かかります」
細く切った天然のアシや竹を一つひとつ糸で編んで手作りの竹すだれをつくるチョ・デヨンさんはこういう。チョさんは、慶尚南道統営市の4代目伝統技法竹すだれ職人だ。
チョさんは、「統営でつくられた竹すだれは、どの国のどの地域よりも繊細だ。細く切ったアシや竹を丁寧に一つひとつ糸で編み、非常に細かい文様や文字を刻んでいる」と話す。
竹すだれ職人のチョさんは、 竹は湿気に弱いため、一日に少なくても1時間は日光に当て、冬は韓紙か新聞紙で包んで保管しないと長持ちしないという
彼は朝鮮時代の「12工房」の伝統を今日まで継承している。12工房は、1604年に慶尚道、全羅道、忠清道の三道水軍を統轄する統制使「三道水軍統制営」が統営に移ったのを機に始まった。
壬辰倭乱(文禄・慶長の役、1592~1598)当時、三道水軍統制営が統営に移ることで、様々な軍需品を制作する工房が活発に運営された。鉄を溶かして刀などの武器をつくる治匠房や冠をつくる笠子房、柳の枝や竹ひごを編んで箱をつくる箱子房、いろいろな木で家具や文房具をつくる小木房、金・銀を細工して装身具をつくる銀房など、計12の工房が形成された。
12工房は、1895年に統制営が閉鎖されるまで活発に運営された。統営市は、統制営12工房の伝統工芸を継承しようと、2013年6月に三道水軍統制営の中心的建物として現存する洗兵館を中心に12工房を復元した。
2013年6月に慶尚南道統営市に復元された朝鮮時代の「12工房」。三道水軍統制営の中心的建物だった「洗兵館」の隣に、様々な物品が制作される12の工房が建っている
慶尚南道統営市に現存する三道水軍統制営の中心的建物「洗兵館」。ここを中心に統制営の「12工房」が復元され、統営の伝統工芸が継承されている
ここでは統制営12工房の伝統をこれまで継承してきた職人らが集まり、今年3月~10月に訪問客に工芸過程を公開するとともに、訪問客が自ら参加する体験プログラムが行われた。
統営観光開発公社のユ・ギナムさんが、12工房にまつわる歴史的物語について説明している
統営観光開発公社統制営運営チームのユ・ギナムさんは、「ここを開放して以来、中国はじめ外国人の訪問が相次いでいる」と話す。
そして、「職人らが自ら試演し、その芸術にまつわる歴史と物語について聞かせてくれるところはそれほど多くない。ここを訪れる多くの訪問客は、職人らが統営の海で獲れたアワビの殻を利用して螺鈿作品をつくる過程や馬尾を編んで冠をつくる様子を見てビックリし、不思議そうな目で見ていた」と話す。
統営の海で獲れたアワビの殻を利用して一つひとつ飾りをつけた螺鈿作品
洗兵館を中心に復元された統制営「12工房」には、様々な手工芸作品が展示されている
記事:コリアネット ソン・ジエ記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
jiae5853@korea.kr