12日、ロシアの学習都市研究団と冠岳区役所の関係者らが冠岳区の生涯学習政策について深く議論した。写真は、ロシアの学習都市団長のニナ・リトヴィノワ教授にユ・ジョンピル冠岳区長が書籍をプレゼントしている様子
冠岳区(クァナクく)はソウル南部に位置する地方自治体。29.57㎢(ソウル市全体の4.9%)の狭い面積に約50万人が暮らす代表的な庶民の居住地域でもある。月収200万ウォン以下の低所得世帯が17.3%に達する貧困地域だ。これといった産業施設や企業もない冠岳区だが、12日にロシアからの特別な客が冠岳区役所を訪れた。
その特別な客とは、サンクトペテルブルク産業技術デザイン大学とアゼルバイジャン国立教育大学の教授ら10人で構成されるロシアの学習都市研究団だ。今回の訪問は、2015年に大韓民国生涯学習都市研修でロシア学習都市研究団の団長であるニナ・リトヴィノワ(Nina Petrowna Litvinova)教授とユ・ジョンピル区長が出会ったのがきっかけとなった。
ロシア学習都市研究団は「生涯学習ネットワーク」にフォーカスを当てた冠岳区の生涯学習政策と新しい福祉の概念である「知識福祉」に大きな関心を示した。その代表例がIT新技術を図書館サービスに適用した「U-図書館」。U-図書館は事前にウェブやスマホのアプリで要請した書籍を地下鉄駅の無人レンタル機器から手軽に借りられるサービスで、2011年に地下鉄2号線のソウル大入口駅に設置され、現在は冠岳区の全地下鉄駅で利用できる。
冠岳区の図書館は、森の中(上)、区役所内(中)、地下鉄駅(下)にいたるまで設置場所も様々で、どこでも読書できる環境を作っている
2014年には中国の国営放送局CCTVが「駅に移された韓国の図書館」をテーマに「U-図書館」を紹介したこともある。近所の図書館や地下鉄の駅まで本を届ける「知識弁当配達事業」は統合図書ネットワークの代表格といえる。これまで冠岳山(標高629m)の高さの11倍を超える36万冊の書籍が配達され、これをベンチマークするために国内外の行政機関、外国のメディアや自治体の訪問が相次いでいる。
国会図書館長を歴任したユ・ジョンピル冠岳区長は「私の著作『世界図書館紀行』で韓国に初めてロシアの図書館を紹介した。共有と協力により持続可能な生涯学習社会を達成するために引き続き取り組み、知識福祉事業を深化・発展させていく」と明らかにした。
コリアネット ウィ・テックァン記者
写真:冠岳区
翻訳:イム・ユジン
whan23@korea.kr
冠岳区を訪れたロシア学習都市研究団は冠岳区の生涯学習政策や図書館の運営など、知識福祉全般に高い関心を示した