１９４４年６月頃、名古屋市の熱田神宮へ参拝させられる三菱重工航空機製作所へ強制的に動員された韓国人少女たち。幟旗に「女子航空挺・・」と書いてある＝勤労挺身隊ハルモニ（おばあさん）と共にする市民の会
［安養＝キム・ウニョン、キム・ヨンシン］
７４年間の願いは「申し訳ない」という、たった一言。
全てを手放したくなる時、支えてくれたのは、皆からの「負けないで」という一言。
三菱重工航空機製作所へ強制的に動員された金性珠（キム・ソンジュ、８９歳）氏は、当時の生活を思い浮かべながら、涙を流した。
最近、日本による植民地時代に強制的に動員され、三菱重工業で働かされた韓国人被害者たちが同社を相手取り起こした損害賠償請求訴訟の上告審判決が相次いで言い渡された。韓国の大法院（最高裁判所）は、被害賠償を否定した日本の判決は韓国の憲法に反するもので、１９６５年の韓日請求権協定によって強制徴用被害者の個人請求権問題が消滅したとみることはできないと判断した。
被害者たちは１９９９年、名古屋地裁に強制徴用に対する損害賠償を請求する訴訟を起したが、２００８年、最終敗訴判決を下した。２０１２年、韓国の大法院に訴訟を起した結果、今年１１月２９日、このような判決を下した。この間、被害者たちは病気で体が不自由になった。死んだ人もいた。
今でも恨みを抱いている金氏は１８日、コリアネットのインタビューに応じた。彼女は、被害者として、７４年間の戦いについて語った。
（注：戦時下で女性を軍需工場などへ強制的に動員された「女子勤労挺身隊」は、慰安婦とは全く別のもの）
１９４４年５月頃、三菱重工航空機製作所へ強制的に動員された金性珠氏＝１８日、京畿道・安養、キム・ヨンシン撮影
- 何故、三菱重工航空機製作所へ強制的に動員されたのか。
１９４４年５月頃だった。日本にさえ行けば、学校で勉強しながらお金も稼げるという大垣先生の言葉に騙された。勉強どころか、三菱重工航空機製作所で働かされた。朝から夜まで働いても無給だった。切断機に指が入り負傷したが、まともな治療も出来なかった。同年１２月に東南海地震が発生したが、日本語が分からなくて逃げることさえ出来なかった。膝の負傷で今も足を引きずって歩く。当時、私はわずか１５歳だった。
- 日本政府と三菱に訴訟を起してから１９年ぶりの判決結果だ。韓国の大法院が下した判決についてどう思う。
感謝の気持ちで一杯だ。この瞬間だけを思って今まで生きてきた。死んだ友達（被害者たち）も喜んでいるだろう。
- 長い戦いだった。諦めたい時もあっただろう。
正直、全て手放したかった。意味のない戦いはやめなさいと言われた。でも、私は一人じゃなかった。「負けないで」という皆の応援に囲まれた。韓国側の金正熙（キム・ジョンヒ）弁護士と崔鳳泰（チェ・ボンテ）弁護士を始め、韓日両国の市民団体の支援と支持があったから、ここまで来られた。
- 被害者を支持してきた日本の市民団体とは。
日本の国民として過去に犯した過ちを反省しない日本政府の態度を、決して許せないと思う日本人が集まって結成した「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」。良心的な日本人に感謝する。彼らは、１９９９年から訴訟や日本滞在にかかる費用を支援している。また、２００７年から東京三菱本社の前で謝罪と補償を求めている。
- 日本政府と三菱は、韓国の大法院が下した判決を認めてないが。
反省の色さえ見えなくてとても悔しい。私たちは無給で働かされた。私たちの労働力を利用した三菱は、子会社６００社以上を傘下に納める世界的な企業になった。日本から解放されてからも、日本政府と三菱は私たちが受けた被害について認めてない。過去を振り返って真実と向き合ってほしい。
- 日本政府と三菱に要求する謝罪とは。
踏みにじられた私の青春に、１５歳の私に、真心を込めて「申し訳ない」と言ってほしい。そして、せめて当時の怪我によって生じた後遺症への治療費くらいは払ってほしい。
- 最後に伝えたい一言は。
日本国民の寄付金で建てられた「東南海地震犠牲者追悼記念碑」には、東南海地震で生じた５７人の犠牲者（うち６人は朝鮮女子勤労挺身隊員）の名前と「悲しみを繰りかえさぬようここに真実を刻む」との文章が刻まれている。日本政府と三菱は、裁判結果とは関係なく、真心を込めて謝罪しなければならない。ここから韓日関係が復元できる。
東南海地震犠牲者追悼記念碑を前にして撮影した写真を見せる金性珠氏。写真には、金氏（左）と被害者たちを支援する日本人＝１８日、京畿道・安養、キム・ヨンシン撮影
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