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2024.05.30

「韓国・アフリカ首脳会議」は、韓国とアフリカにとって歴史に残る会議になるだろうと強調するデシ・ダルキ・ドゥカモ駐韓エチオピア大使=2日、ソウル城北区

「韓国・アフリカ首脳会議」は、韓国とアフリカにとって歴史に残る会議になるだろうと強調するデシ・ダルキ・ドゥカモ駐韓エチオピア大使=2日、ソウル城北区


[ユン・ソジョン、キム・リナ]
[写真=ジョン・ハン]
[映像=ジョン・ハン、イ・ジュニョン、パク・デジン]

「韓国とアフリカ諸国の両方にとって歴史に残る会議になるだろう」

デシ・ダルキ・ドゥカモ(Dessie Dalkie Dukamo)駐韓エチオピア大使は、6月4~5日にソウルで開催される「韓国・アフリカ首脳会議」に対する期待をのぞかせた。
ドゥカモ大使は「アフリカ諸国も韓国の戦略分野をさらに理解し、経済発展の経験を持つ韓国と分かち合える大事な機会」として、今回の首脳会議は意味深いとした。

ドゥカモ大使は、韓国とエチオピアは「ブラッドブラザー(blood brother)」だと言った。両国の関係は、1951年にエチオピアが韓国戦争に参戦したことを期に始まり、韓国とアフリカ全体の関係につながったと評価した。両国の関係が発展を重ねてこられた理由を、ブラッドブラザーだからだと強調した。

彼は「エチオピアは、アフリカで人口ランキング上位の国であり、アフリカ東西部の関門」だとし、「コロナ禍にもかかわらず、韓国が最大の輸出を記録した2021年より両国の交易規模がさらに拡大することを願う」と赴任期間の目標を明らかにした。

以下は今月2日、ソウル・城北(ソンブク)区の大使館で行ったインタビューの全文。

韓国とエチオピアは昨年、国交樹立60周年を迎えた。両国の協力関係により、どのような成果を挙げたか。


1963年に国交を結んだ。両国の関係は1951年にエチオピアが韓国戦争に参戦したことを契機に始まった。その後、今日に至るまで様々な分野で協力し、両国の首脳が密接な交流を行ってきた。

韓国を「ブラッドブラザー」だと思っている。韓国戦争に参戦したアフリカ2カ国のうち、一つがエチオピアだ。また、兵力を派兵したアフリカでは唯一の国家だ。韓国とアフリカの協力関係は、韓国とエチオピアの関係から始まった。韓国戦争に参戦した6000人以上のエチオピアの兵士は勇猛に戦い、253回の戦闘で全勝を収めた。121人が戦死したが、捕虜は一人もいなかった。

2021年代に韓国の対エチオピア輸出が過去最大を記録するなど、両国の交易規模が拡大している。コロナ禍などにもかかわらず、両国の交易が発展してきた秘訣は何か。


経済発展構想により、エチオピアの経済が速いスピードで発展した。ここには、3つの理由が挙げられる。まず、インフラの開発など、エチオピアの経済開発が加速化する中で、韓国の製品に対する需要が増えた。また、コーヒーなどエチオピアの農業輸出が拡大した。エチオピアは人類初のコーヒー生産地であり、アラビカコーヒーの本場だ。韓国人もコーヒーが好きなので、エチオピアのコーヒーに対する需要が増え、輸出が拡大した。さらに、ゴマなどクオリティーの高い農産物も輸出が増加した。輸送と交通手段の発展が大きな役割を果たした。エチオピア航空は、仁川(インチョン)から就航するアフリカ唯一の航空会社だ。旅客輸送と貨物輸送手段の発展も輸出の拡大に大きな影響を及ぼした。

エチオピアで行われている韓国との協力事業があるか。エチオピア政府は韓国とどのような分野で協力を拡大することを希望しているか。

エチオピア政府は経済の復興に向けて改革に拍車をかけている。製造業、農業、鉱物、観光、情報・通信・技術(ICT)の5つの戦略分野に力を入れている。韓国は特に製造業、繊維、鉄鋼、電気系統分野において協力事業を推進中だ。拡大も予想される。韓国はエチオピアの農業分野およびICT分野、保健分野の発展を支援している。両国はリチウム、コバルトなど、産業化で原料として使われる希少鉱物資源の開発協力も進めている。韓国の経済発展の経験である「セマウル運動」を共有するのもエチオピアの経済発展に役に立っている。

「韓国・アフリカ首脳会議」が6月4日と5日にソウルで開催される。今度の首脳会議でエチオピアはどのような期待をしているか。

韓国とアフリカの両方にとって歴史に残る会議であり、アフリカ諸国も韓国が戦略としている分野についてさらに理解できる機会になるだろう。韓国の経済発展の経験を共有することは、アフリカだけでなく全世界の国々にも非常に重要だ。高官が相次いで訪韓する理由でもある。今回の会議を契機に、両国の協力がさらに拡大することを期待する。

エチオピアは韓国の平和だけでなく、すべてのアフリカ諸国の平和と独立のためにも貢献した。エチオピアはアフリカにとって、歴史的な象徴性を持つ。エチオピアはアフリカの中心だ。国連や欧州連合など、多くの国際機関のアフリカ本部があり、アフリカ東西部を繋ぐ関門でもある。このような地理的かつ歴史的重要性から、エチオピアが韓・アフリカ協力と経済開発の中心地だと言える。エチオピアはアフリカで2番目に人口の多い国だ。国民の大半が若いため、韓国企業が事業を繰り広げるのに適している。また、交通手段も発達している。このような点を土台に、両国の協力がさらに発展できると思う。

デシ・ダルキ・ドゥカモ駐韓エチオピア大使は、韓国とエチオピアの交易が拡大した背景の一つの理由として、エチオピア航空が仁川空港に就航したことなど、交通手段の発展を挙げた。

デシ・ダルキ・ドゥカモ駐韓エチオピア大使は、韓国とエチオピアの交易が拡大した背景の一つの理由として、エチオピア航空が仁川空港に就航したことなど、交通手段の発展を挙げた。


韓国政府はエチオピア参戦勇士の子孫を対象に奨学事業などの報勲事業を拡大している。両国はエチオピアの韓国戦争を契機にした協力関係をどのように受け継いでいるか。

まず、韓国政府の報勲事業に感謝の意を表したい。韓国は江原(カンウォン)道・春川(チュンチョン)にエチオピア参戦記念館を建設するなどの報勲事業を推進している。記念館の建設や参戦勇士の記念会などは、両国の国民の連帯をさらに強くする。韓国は参戦勇士の子孫のほか、一般のエチオピア人を対象とする奨学事業を展開している。今後もこのような事業が続いてほしいと思う。両国の協力のみならず、国民間の絆もさらに強まることを希望する。

- KOREA.netの読者にエチオピアの文化や料理、観光地はについて教えてほしい。

エチオピアはアフリカでも古代国家として知られている。人類初の祖先の化石である「ルーシー」が発見されたりもした。人類の歴史が始まった場所だという歴史的な意味を持っている。エチオピアには歴史的にも有名な教会はもちろん、モスクも多い。 観光地としても独特な個性と魅力があふれるところだ。


食文化に関しても、欧州とは違う魅力がある。エチオピアを代表する料理は「インジェラ(injera)」と「ドロワット(dorowat)」だ。インジェラは、インジェという穀物で作ったパンで、スポンジのような食感が特徴だ。エチオピアの特産品であり、グルテンを含まない穀物であるテフ(teff)で作られている。ドロワットは、鶏肉をバターや様々な香辛料で味付けした蒸し料理だ。

エチオピアは平均気温が20度程度と穏やかで、どの季節も旅行に適している。だが、最も旅行に最適な時期は9月だ。韓国で桜の花が咲く時期と同じくらい美しい時期だ。1月には、ユネスコ世界遺産にも登録されている有名なエチオピア正教祭の「ティムカット(Timket)」が開かれる。

2022年に駐韓エチオピア大使に任命された。在任期間中にやりたいことや計画があるか。

韓国にいる間、両国の関係がさらに深まることを願う。エチオピアでビジネスを進める韓国の投資家をさらに多く確保したい。交易も2021年よりさらに増やしたい。両国間の交易、人的・文化的交流や技術および科学交流、投資拡大に向けて最善を尽くす。


arete@korea.kr