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2024.12.30

「私は韓国語の先生だが、今でも学んでいる」と話す浜之上幸教授

「私は韓国語の先生だが、今でも学んでいる」と話す浜之上幸教授


[イ・ギョンミ、吉岡香織]
[写真=吉岡香織]

「韓国語勉強のコツですか。韓国語を1つの外国語としてリスペクトする姿勢を持つことだ。語学堂レベルの韓国語教育と現地でのカジュアルな会話に安住、不完全で不自然な韓国語の表現を日本語の延長上で使用しつつ何とかコミュニケーションを行うという韓国語学習者は、韓国語の豊かな世界を知ることができないという意味で、大損している。韓国を真摯にリスペクトしていきたいと切実に思う。」

神田外語大学の浜之上幸副学長(アジア言語学科韓国語専攻教授)は今年10月9日、「ハングルの日」の記念式典で、「玉冠文化勲章」の受章者に選ばれた。同勲章は、韓国の文化・芸術の発展に優れた功績を残した人や団体に授与されるもので、浜之上教授はハングルの発展に貢献したことが認められた。

10月31日、日本・東京の駐日韓国文化院で開かれた授章式に出席した浜之上教授は、「私は代理で受章したにすぎない」とし、「神田外語大学で韓国語を学んだ約1000人の同窓生が受章したものだ」と述べた。

韓国と韓国語に関する話をしていると笑顔になる浜之上教授。10月28日、KOREA.netと吉岡香織KOREA.net名誉記者がインタビューを行った。

玉冠文化勲章を受ける浜之上教授。韓国語の普及や大衆化に寄与し、韓流ブームの礎を築いた。また、対外日韓交流活動や研究に邁進し、日韓友好に大きく貢献した。その他にも、30年余り研鑽した現代韓国語の文法体系に関する研究業績が高く評価された。

玉冠文化勲章を受ける浜之上教授。韓国語の普及や大衆化に寄与し、韓流ブームの礎を築いた。また、対外日韓交流活動や研究に邁進し、日韓友好に大きく貢献した。その他にも、30年余り研鑽した現代韓国語の文法体系に関する研究業績が高く評価された。



―日本における韓国語の地位は。
数的な面でいうと、 (神田外語大学で言えば、)韓国語専門の学科・専攻の入試倍率は、他の学科・専攻の入試倍率よりもかなり高い。また、他の大学でも第二外国語として韓国語を学ぶ学生の数は、中国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語などを数年前から上回っている。それに対し、韓国語教員の数が圧倒的に不足している状態だ。

質的な面での地位を考えた場合、他の外国語との違いが明確だ。言語は、「学術言語」や「商業言語」などに分類されるが、私は勝手に韓国語を「文化言語」に分類している。韓国語は、高度な学問を学ぶためでも、お金を儲けるためでもなく、韓国にまつわる様々な文化(韓流:K-POP、映画、ドラマ、飲食、美容、ファッション、文学など)を楽しむために学ばれているという現状認識を持つ。


―韓国語を教える時に必ず守るルールなどはあるか。
韓国語自体の教授法ではないが、「ある外国語を学ぶ学生は、その外国語を教える教員を通じて、その外国語にまつわる様々なイメージを形成する」という一般論を忘れない。つまり、「韓国語教員はダサくてはダメで、カッコよくなくてはいけない」ということになる。したがって、

1.服装に気を付ける
2.話し方は丁寧にする
3.教育機材は最新のものを使用する
4.学問的に水準の高い話を盛り込む

ということが、私個人のローカル・ルールだ。もちろん、このルールを他の韓国語教員に押しつけるつもりは全くない。(笑)


―一番好きな韓国語の単語や表現は何か。

韓国語の固有語で、開音節(「あいうえお」のような母音で終わる言葉)に、なぜか個人的に心惹かれる。무지개(虹)、소나기(にわか雨)、메아리(山びこ)などだ。また、反語形式(=形式は疑問形だが、否定の意味を表すもの)も韓国語らしくて面白く感じる。例えば、「난 몰라(私は知らないよ)」というより、「내가 어떻게 알아?(なんで私が知ってるの)」と、まるでケンカを売っているような言い方が楽しい。


―韓国語を学ぶ人々に一言。
「こういう目的や考え方を持って韓国語を学ばなくてはならない!」という押しつけは最悪だ。韓国語の入り口は数多くあり、どの入り口から入っても構わない。「激推し」がきっかけで韓国語を始めてもいいし、ひとりの人が(韓国語を学ぶ)入り口をたくさん持っていてもいいと思う。

入試の面接で、「韓国と日本の架け橋になりたい」と言う人が多い。たぶん、落ちることを心配して言っているのだと思うが、「推しがきっかけで始めた」と正直に話しても大丈夫。

km137426@korea.kr