[均衡発展]
地域首長から聞く#2:忠清北道
韓国社会は現在、低成長・(富裕と貧困の)両極化・少子高齢化・地方消滅などの問題を抱えている。この問題を解決するために、韓国政府は、均衡発展を通じた国家経済の跳躍をビジョンとして揚げた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、去年2月に行われた国家均衡発展のビジョン宣布式で「分権と包容(包摂)、革新の価値を基盤に、地域が主体となった均衡ある発展を目指す」ことを明らかにした。それにより、各地域は、分野ごとに均衡発展を促進させるために取り組んでいる。
コリアネットは、韓国政府が行う国家均衡発展のビジョンと推進計画などについて、忠清北道(チュンチョンブクド、忠北)の李始鍾(イ・シジョン)知事に聞いてみた。
江原道と湖南地方を結ぶ「江湖軸」について語る忠清北道の李始鍾知事=8日、忠清北道・清州、ゾン・ハン撮影
[清州=キム・ヨンドク、イ・ギョンミ]
李始鍾知事の執務室に入ると、壁一面をまるごと覆い尽くすほどの巨大な地図が目に入る。それは、忠北の均衡発展計画地図。地図の真ん中には、江原道(カンウォンド)と湖南(ホナム)地方をつなぐ高速化鉄道が白でベルトのように表示されている。湖南地方は、光州(クァンジュ)広域市を含め、全羅南道(チョルラナムド)と全羅北道(チョルラプクド)を合わせて称する言葉。
李知事の机の周りには、均衡発展計画に関する様々な書類や小さな地図などがたくさん置いてある。インタビューの主題である国家均衡発展の話を持ち出すと、李知事は最初に「江湖軸」に触れた。
江湖軸計画の柱となるのは、鉄道高速化事業で江原道と湖南地方を結ぶこと。同計画は、忠北が国家均衡発展に向けて推進しているプロジェクトである。2014年から江湖軸事業を提案してきた李知事は、均衡発展において江湖軸は非常に重要な役割を果たすだろうと繰り返し強調した。
コリアネットは8日、忠北道庁を訪れ、李知事から国家均衡発展のために忠北が進めている計画について聞いた。
―韓国政府は1月に「2019国家均衡発展プロジェクト」を発表した。忠北で進めている事業は。
忠北から「江湖軸(江原道~湖)」という言葉が誕生した。最近、政府主導の国家均衡発展計画にこの概念が反映された。
―国家均衡発展において江湖軸事業はなぜ必要なのか。
これまで韓国は京釜軸(ソウル~釜山)を中心に開発してきた。統計によると、人口、産業団地の規模や数など様々な分野において京釜軸対江湖軸の割合は約8対2。国家均衡発展の面から、このままにしておくわけにはいかないと思った。
―江湖軸の発展で得られるメリットは。
五松(オソン)駅から堤川(ジェチョン)駅まで、時速230キロで走るよう鉄路を改良する今回の事業は、忠北線を高速化することで市民が湖南から江陵(カンヌン)まで乗り換えなしで行き来できるようになる。
江湖軸からスタートする鉄道は、江陵から北朝鮮の元山(ウォンサン)、そしてロシアのウラジオストクまで拡大できる。シベリア横断鉄道のスタート地点であるウラジオストクを経て欧州まで行けるようになれば、ユーラシア大陸を結ぶ「夢のシルク・レール」構築にも近づけると思う。
―実現の時期は。
現在のところ、韓国政府は2026~2027年までの完成を目指している。南北関係が順調に改善すれば、10年以内に(北朝鮮を通過することが)可能になると期待している。
インタビューに応じる忠清北道の李始鍾知事 =8日、忠清北道・清州、ゾン・ハン撮影
―社会間接資本(SOC)以外に、忠北が均衡発展に向けて取り組んでいることはあるか。
体育分野では、8月30日から8日間にわたって「2019忠州世界武芸マスターシップ大会」を開催する。武道のオリンピックと言えるこの大会は、東洋武芸を中心とする大会を別途に開くためにスタートした。
オリンピックがアテネから始まって世界的な祭典となったように、武芸マスターシップもオリンピック並みのイベントになれると思う。スイスのローザンヌは、国際オリンピック委員会都市に発展した。忠北も(武芸マスターシップ)を順調に発展させていけば、武芸の中心地になれるだろう。
最後に、均衡発展を通じた忠北道の最終目標を尋ねると、李知事は「世界へ、未来へ進む忠北を作ること」と強調した。忠北を「山紫水明(自然の風景が清浄で美しいこと)」と定義する李知事は、「これから5年以内に(大韓民国で)先頭に立つ地域になる」と言い切った。
李知事がコリアネット読者に、忠清北道で一番美しい山として紹介した俗離山の法住寺=聨合ニュース
kyd1991@korea.kr