技術の発達により、韓国の科学捜査が飛躍的に発展している=警察庁
[イ・ギョンミ]
1986年から1991年にかけ、女性9人が殺害された未解決事件「華城(ファソン)連続殺人事件」。30年以上が過ぎても犯人は捕まらず、映画のモチーフにまでなった殺人事件。この事件の容疑者が、先月特定された。容疑者の特定には、韓国科学捜査の発展が決め手となった。
事件発生当時は、技術不足により容疑者の特定が不可能だった。ところが、時間が経つにつれ、DNA分析技術が飛躍的に発展し、30年前の遺留品から採取した極微量のDNAから身元確認ができるようになったのだ。
韓国の科学捜査は、国立科学捜査研究院と警察庁科学捜査管理官が担当する=聨合ニュース
科学捜査の発展に伴い、科学捜査を行う国立科学捜査研究院への鑑定依頼件数は、2017年の1年間で57万件となり、韓国で発生する犯罪5件のうち1件が科学捜査により解決されている。これを受け、韓国の犯罪検挙率は毎年高くなっており、特に殺人事件の検挙率はここ15年間で平均96%以上に達している。国際刑事警察機構(ICPO)が発表した世界各国の犯罪率に対する統計と比較すると、米国や英国などの主要先進国より遥かに高い水準だ。
DNA鑑定や指紋鑑定は科学捜査で最も多く活用される方法。今回、華城連続殺人事件の容疑者特定には、DNA鑑定が決め手となった=聨合ニュース
韓国の様々な科学捜査分野の中で、DNA鑑定技術は、2006年にソウルで起きたフランス人夫婦による幼児殺害事件で、その優秀性をすでに認められている。当時、フランスの世論とマスコミは、韓国の捜査に疑惑を抱いたが、結局事件の全貌が明らかになった。韓国科学捜査の高い水準を世界に知らせるきっかけになった事件だと言える。
DNA鑑定以外にも、韓国の指紋鑑定技術は、米連邦捜査局(FBI)からも学びに来るほど、世界最高レベルである。2004年12月、スマトラ沖で大地震・津波が発生した際、熱気を利用して短時間に遺体から指紋を取る技術で、他の国よりも早く、一番に身元の確認を行った。また、今年ハンガリーで発生した遊覧船沈没事故でも、韓国警察の科学捜査隊が1時間で遺体の身元を把握し、現地の警察や海外メディアを驚かせた。
海外に広がる韓国科学捜査=警察庁
韓国の優秀な科学捜査は、海外にまで広がっている。インドネシア・スリランカ・ナイジェリア・グアテマラなどで科学捜査分野の開発協力事業が進んでおり、現地の警察や捜査研究員らが韓国の科学捜査を学ぶために韓国を訪れることも多い。
韓国科学捜査のこれからの発展方向について、曺大熙(チョ・デヒ)警正は、「人工知能(AI)を活用した3D顔認識技術、声紋分析など幅広い分野で研究が行われている」とし、「これらの技術を積極的に科学捜査に反映していく」と語った。
韓国の「科学捜査」を通じて犯罪の心配がない韓国、より安心して暮らせる世界になることを期待する。
km137426@korea.kr