科学技術

2025.05.27

ヒキガエルの群れが、黄芳山一帯に移動する様子=9日、蔚山・中区、蔚山中区役所

ヒキガエルの群れが、黄芳山一帯に移動する様子=9日、蔚山・中区、蔚山中区役所


[カン・ガヒ]

毎年5月中旬、ヒキガエルの子どもが陸地へ戻り始める季節だ。

雨が降ったり空気が湿った日には道路の上に、ヒキガエルが姿を現す。

成体になったヒキガエルは、毎年春に産卵のために湿地に移動して卵を産む。孵化したオタマジャクシは、ヒキガエルになった後、再び陸地の棲息地に戻る。

しかし、陸地への道のりには危険が伴う。ロードキルや農水路などに閉じ込められて死んでしまうケースが少なくない。

全国の地方自治体や環境団体、ボランティアなどが協力し、5月ごろにヒキガエルの保護活動に乗り出している。

ヒキガエルの移動を見守り、危険な区間にはフェンスを設置する。一部の地域では、車両の進入を統制し、救助活動も行っている。

忠清北(チュンチョンブク)道・清州(チョンジュ)市議会は2022年、韓国で初めて「小型動物人工水路死亡および動物車道事故低減条例」を制定した。人工排水路・農水路における小型動物の脱出施設の設置、道路生態通路の設置、小型動物の救助活動における支援などの保護条項が盛り込まれた。

その後、各自治体に類似条例が拡散し、ヒキガエルの保護は、地域生態政策の一つとして位置づけられた。

約400メートル区間に、ヒキガエルのロードキルを防止するためのフェンスを設置する自然保護水城区協議会と水城区庁緑色環境課のスタッフ=大邱寿城区庁

約400メートル区間に、ヒキガエルのロードキルを防止するためのフェンスを設置する自然保護水城区協議会と水城区庁緑色環境課のスタッフ=大邱寿城区庁


大規模なヒキガエル産卵地がある大邱(テグ)・寿城(スソン)区は、ヒキガエルの移動時期に合わせて移動経路内の車両進入を防ぎ、ロードキル防止フェンスを設置する。そして、カメラを設置して移動経路をモニタリングする。ボランティアたちが現場を守り、ヒキガエルが安全に移動できるようにサポートを行う。

寿城区は、2023年から環境部国庫補助事業と連係し、予算200億ウォンを投じて、「都市生態軸復元事業」と「生態教育館建設事業」を推進中だ。

韓国の昔話には、ヒキガエルがよく登場する。困っている人を助け、危機を救い、あるときは恩返しをする象徴的な存在である。

ヒキガエルへの小さな配慮が、自然と人間が共存する世の中、生物多様性を守る第一歩につながるのではないだろうか。

kgh89@korea.kr