咸安郡岳陽楼は南江と土手沿いの道がうまく調和を成す開放感溢れる景色を誇る
岳陽楼(アギャンル)、無盡亭(ムジンジョン)、臥龍亭(ワリョンジョン)、合江亭(ハプカンジョン)、廣心亭(クァンシムジョン)…。咸安郡(ハムアングン)にある東屋の名前だ。
南江(ナムガン)に囲まれている咸安では、川沿いを歩くと東屋に簡単に出会うことができ、その東屋に座ってみると、国語辞書に「眺めのいいところに、遊んだりリラックスしたりするために作られた建造物」と書いてあるように、広々とした風景とともに心地よい春の風に身を任せるひと時を満喫できる。
咸安郡にある東屋はそのほとんどが朝鮮時代に作られたが、当時の東屋は単なる美しい景色を眺めるための場所ではなかった。人文を重視するソンビ(学識が優れ、礼儀正しく清廉潔白で高潔な人格を持つ人)たちが学問交流を行う場であり、集いや宴会などを行う社交の場であった。ここ咸安郡では川沿いを歩くとそんな東屋に簡単に出会えるということは、昔の咸安に景色のよい場所やソンビが多かったことを意味する。
朝鮮王朝時代の仁祖11年(1633年)に建てられた合江亭は、一切の官職を断り隠居生活を送りながら学問に精進し続けた趙任道(チョ・イムド)先生が余生を過ごしたところであり、廣心亭は顯宗5年(1664年)に性理学者・宋知逸(ソン・ジイル)先生が学問を修めるために建てた。臥龍亭は憲宗(1827~1849年)在位の際、師匠と共に科挙を受けた洪哲泰(ホン・チョルテ)が自分だけが合格し、師匠ファン・ガイクのために建てた東屋だ。
南江周辺の木々はまだ芽吹かない先月27日、寒々しい枝の間から川辺の絶壁に佇んでいる岳陽楼の姿が見える
岳陽楼から眺めた南江と土手沿いの道の姿。ここではマラソン大会も開かれる
優れた景色とともにそれぞれのストーリーがある咸安郡の東屋の中でも、朝鮮王朝時代の哲宗8年(1857年)に建てられた岳陽楼は、二つの支流が合わさるところの絶壁に建てられ、開放感あふれる景色とともに南江の夕日を思う存分楽しめるところだ。南江と咸安川が合わさる姿を一望できる岳陽楼では、おまけに南江沿いに続く法守(ポプス)土手沿いの道の景色も楽しめる。土手沿いの道に菜の花が満開すると、川のせせらぎと風に踊るように揺れる菜の花とが調和を成し、見る人の心をワクワクさせる。絶壁に佇む岳陽楼を眺めることができる土手沿いの道は、韓国で一番長いとされる。季節ごとに菜の花、青麦、そして野生化や水生植物を見ることができる土手沿いの道では、昨年から「エコシンシン咸安堤防マラツアー」という名で、土手沿いの道を走るマラソン大会が開かれている。
池の上の丘に佇む無盡亭は、ソンビたちが風流を楽しみながら交流を深める社交の場だった
無盡亭はシンプルで素朴な朝鮮時代前期の東屋の姿をよく表している
咸安では東屋を川辺以外のところでも見ることができる。伽倻邑(カヤウプ)と咸安面の境界区域に位置した無盡亭は、成宗4年(1473年)に無盡・趙参(チョ・サム)先生が自身の雅号から名づけたものだ。後学を育てながら余生を過ごすために建てたこの東屋は、シンプルで素朴な朝鮮時代前期の東屋の形式をよく表しており、池と調和を成している佇まいは季節ごとに違う美しさを披露する。
記事・写真提供:コリアネット チョン・ハン記者
hanjeon@korea.kr
数々の東屋に出会える南江周辺にある土手沿いの道は、小規模飛行場があるほど長い
咸安郡入谷郡立公園に作られた絶壁の上の散歩道にも東屋が佇んでいる
自然生態系がよく保存されている入谷郡立公園散歩道は、つり橋「クルムダリ(雲の橋)」が貯水池の両端を繋いでいる