文化

2022.10.13

▲MEDIA SARAM

ウズベキスタン出身の高麗人、ヴィクトル・アン氏=MEDIA SARAM 協同組合 


[アフメトジャノヴァ・アイスル]

韓国とウズベキスタン・カザフスタンが今年で国交正常化30周年を迎えている。ソビエト連邦崩壊後の独立国家共同体(CIS)諸国の国籍を持つ朝鮮民族、高麗人の日常をテーマにした写真展「カリェーエツ 高麗人」が9月7日から国立民俗博物館(ソウル市所在)で開かれている。


カリェーエツはロシア語で高麗人を意味する。11月7日まで。無料。高麗人の生活文化をテーマにした60点を展示する。


撮影したのは、高麗人ヴィクトル・アン氏。1947年、ウズベキスタンのタシュケント州で生まれ、ハングル新聞「レーニン・キチ(現高麗日報)」でカメラマン(1978~2003)として活動し、約40年間、高麗人をテーマにした写真を残した。ヴィクトル氏に写真展について聞いた。

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写真展「カリェーエツ 高麗人」の内部=国立民俗博物館


――同展の開催について。


韓国でCIS諸国の高麗人をテーマにした写真展が開かれたのは今回が初となる。これがきっかけで、国立民俗博物館に写真352点を寄贈した。高麗人団体「MEDIA SARAM」が開催まで大きな力になってくれた。

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1980年、タシュケント州の農場の様子=国立民俗博物館


――写真にまつわるエピソードは。


40年前に撮った写真の人物に再会し、驚いたことがある。彼らは約40年前の自分に気づいて、感謝の言葉を贈ってくれた。まさか韓国で再会するなんて思ってもいなかった。時間が経ち、写真の人物に再会するのはカメラマンとしてうれしい限りだ。

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2015年、タシュケント州で開かれたトルチャンチ(1歳の誕生日)の様子=国立民俗博物館


――高麗人をテーマにした理由は。

1978年、レーニン・キチのカメラマンの募集があった。友だちから依頼を受け、カメラマンの仕事をしている。1980年の半ばに入って、自分の道を探したいという衝動が起きた。高麗人というアイデンティティー、韓国に関するものが大きな存在になった。

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1991年、タシュケント州でチャンギする高麗人の様子。チャンギは韓半島の将棋類=国立民俗博物館


――撮影当時の雰囲気は。カメラマン人生40年だが。

1970年代の半ばまでは、報道向け写真(フォトジャーナリズム)の全盛期だった。その後からは他の写真分野も認知度を高めたが、専門知識や情報が制限されていた。写真は一生かけても終わらない分野で、知れば知るほど楽しくなった。これが写真一筋の理由かなと思う。

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1979年、アンディジャン州で開かれた結婚式の様子。韓国の伝統的な結婚式では鶏のくちばしを唐辛子で飾る風習がある=国立民俗博物館


――カメラマンとしての活動について。

レーニン・キチ(1978~1981)では、検閲などの制限があった。高麗日報(1991~2003)に名前を変更し、韓国語とロシア語で出版された。製作も緩和され、撮りたい写真が撮れた。

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1979年、シルダリヤ州で開かれた結婚式の様子=国立民俗博物館


――韓国ではどんな写真を撮るのか。


観光地の風景がほとんどだ。都市から離れた田舎に住んだらリアルな韓国が分かる。暗雲が立ち込める中で、干し草の中で眠ったり、家族墓を歩き回ったことを思い出す。

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1999年、ソウルから250キロ離れたある村=ヴィクトル・アン撮影


――自分にとって「韓国」と「ウズベキスタン」は。

韓国は「高麗人の基」であり「祖先の故郷」である。ソウルと京畿道・九里市で6カ月間、暮らしたことがある。ウズベキスタンで高麗人の日常を撮りたいと思った。ウズベキスタンが「自分の居場所だ」と気づいた。

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1988年、ウズベキスタンで初めての韓国語教師だった高麗人、チョイ氏=国立民俗博物館


写真展「カリェーエツ 高麗人」

高麗人の主な居住地は、ロシアをはじめ、ウズベキスタン、カザフスタンなどである。1890年以降、商人や日本による植民地支配からの解放を求める人(独立運動家)らのほとんどが韓半島からロシアの沿海州に移住した。1900年に入り、その数が急増し、沿海州の全体人口の2割を占めた。1937年のソ連政府により、高麗人18万人はウズベキスタンとカザフスタンに移住させられた。

高麗人は自称としてロシア語の「カリェーエツ」より韓国語の「コリョ・サラム」と呼ぶ。朝鮮人・韓国人と区別し、彼ならではの共同体を強調したいという思いが込められている。他国で厳しい生活に耐えながら、韓国の伝統や風習も守ってきた。

同展は、高麗人の日常を大きく9つのセクションに分け、韓国の伝統文化から中央アジアの影響を受けた文化まで紹介する。


aisylu@korea.kr